二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ ( No.38 )
日時: 2012/10/11 14:28
名前: メロンソーダ ◆cSJ90ZEm0g (ID: dbxy7jHb)

  17

「不思議事件・・・ですか?」

 俺の問いに校長は頷いた。なんだか、いつもの冷静さが感じられない。よほど焦っているのだろう。

「具体的に、どんな・・・」

 クロードがそう言いかけた瞬間だった。

「そうなのじゃ!大変なのじゃよ、小さな魔法使いたち!!」

 突如、目の前に浮いていた赤い本が大声を出したのだ。俺は「ひいいっ」と小さく悲鳴を上げて後ずさった。

「情けないわね、半田くん。・・・校長、それは・・・」

 リリアが訊ねると、校長は少しだけ冷静さを取り戻したようだった。「私としたことが・・・」とつぶやいたのち、こう切り出してきた。

「フム・・・では、紹介しましょう。『彼』は、禁断の書。私の古くからの友人です。世界の始まりと終わりを記す者」

「禁断の、書・・・」

 いかにもそれっぽい見た目をしている。顔がついているというのは余計だが。

「今、ワシは困っておる。世界の未来が記された『予言』のページの中でも、最も大事な・・・重要な部分がワシの元から逃げ出してしまったのじゃ・・・」

 ページが逃げ出した?風に吹き飛ばされたとかじゃなくて?

「逃げ出したページは全部で3枚。それぞれ形を変え、ここ・・・レーズンタウンのどこかに、隠れておる」

「!! じゃあ、僕らが呼び出された理由って・・・校長!」

「・・・その通り。君たちに、そのページを探してもらいたい」

「・・・僕らで・・・いいっていうんですか?そんな大事なものを」

「むしろ、君たちでないと不可能。純粋な心を持つ子供たちの目の前にしか、一度隠れた禁断のページは現れない」

 クロードたちの会話を黙って聞いているうち、俺はふと気づいた。

 ————俺も、探すの??

「もちろん、君にも手伝ってもらいますよ、半田くん」

「っ!!」

 心を見透かされた衝撃と、禁断のページ探しに参加しなければならないという恐ろしさが同時に俺を襲った。俺はまだ見習いの魔法使いなのに。そんな、いきなり、不思議事件を解決だなんて・・・。

「いや・・・でも、俺・・・」

「大丈夫だよ」

 クロードが俺の肩を叩く。見た人を安心させるような、優しい笑顔だった。

「僕らも一緒だよ、半田。確かに君にしてみれば唐突すぎて驚いてしまったかもしれないけど、探すのは君だけじゃない。そうだろ?」

「クロード・・・」

 確かに唐突すぎた。心の整理もできていない。
 だけど、仲間がいれば、できるかもしれない。サッカーのときだって、そうだったよな。

「・・・分かった。校長、俺にも参加させてください」

「頼みましたよ、半田くん、クロードくん、リリアくん」

 なぜ校長は俺を選んだのか。そこら辺はよく分からない。だけど、今は・・・俺にできることを、精一杯やろう。