二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ ( No.47 )
- 日時: 2013/02/25 23:29
- 名前: メロンソーダ ◆cSJ90ZEm0g (ID: Xz23HG.d)
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リリア〜レーズンタウン「展望塔」にて〜
今日一日の授業を受け終えた私は、放課後改めて展望塔を訪れていた。目的は校長に会うことではない。禁断の書について、少しでも多くの知識を得るためだ。
半田くんは数学の補習(?)を受けているし、クロードは呑気なことに学生寮前のベンチで昼寝を決め込んでいる。私がいろいろと調べておくしかないというわけだ。
たくさんの本や資料が揃っている展望塔だが、利用する生徒は少なく、一日に2,3人いれば多い方である。ましてや頻繁に訪れる者など、数えるほどしかいない。
理由は単純明確。・・・めんどくさいから。
本がいつも部屋を飛び交い、配置が変わってしまうちょっと変てこなこの施設。目的の本や資料を探し当てるだけでも相当の時間と労力を要する。いつもここを利用する私ですら、未だに本の配置・・・どこに何のジャンルの本があるのか・・・を、把握していない。ていうか、できるわけがない。
「リリア?調べもの?」
熱心にページをめくっている私のもとへ、親友のメイリアがやってきた。彼女も頻繁に展望塔を訪れる少数の生徒の一人だ。
「うん。ちょっとね・・・」
「手伝おうか?私、自分の課題終わったし」
「いいの?・・・って言っても、ホント資料少ないよ。もうないんじゃないかなあ」
「何について調べているのよ」
「禁断の書。知ってる?」
「禁断の書!?世界の始まりと終わりを記しているという、あの!?」
「う、うん」
メイリアが、そういった「伝説系」の類が大好きなのを忘れていた。でも、もしかしたら何か知ってるかも。
「そっかあ!でもごめん、私それあんまり詳しくない!!」
笑顔でそう言い放たれ、私のなかの淡い期待が一瞬にして崩れ去ってしまった。すっかり脱力してしまい、私は近くの椅子に座りこんだ。
「・・・あ、でもね」
メイリアは「そういえば」といった表情で口を開いた。
「さっきヨルダの森に遊びに行ったのよ。そこで綺麗なベリーを拾ってね。持ち帰ろうと思って鞄に入れて・・・そのまま帰ってから、ベリーを取り出そうとしたら・・・」
「・・・取り出そうとしたら?」
「無くなってたの」
「え?」
「だから、消えちゃったの」
「で、でもそれは、単に落としただけなんじゃあ・・・」
やや納得がいかない私を見据えた後、メイリアは額に手を当てうつむいてしまった。
「でも、鞄に穴は開いていなかったし、・・・。まあ、今の話は忘れてもらっても構わないよ」
最後にメイリアはいつも通りの笑みを浮かべ、「それじゃあ」と言って展望塔を後にした。
「・・・ベリー・・・か」
なぜか、メイリアの話が私の耳から離れず焼き付いていた。