二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ ( No.52 )
日時: 2012/12/10 16:16
名前: メロンソーダ ◆cSJ90ZEm0g (ID: MxORj1uQ)

  19

 決してメイリアの言葉を鵜呑みにしたわけではない。
 それでも、ただ手探りで探すより、何かしらの手掛かりをもとにした方がいい。
 私は、ヨルダの森へと足を運んだ。

 リリア〜レーズンタウン「ヨルダの森」にて〜

「・・・っていってもなあ」

 いきなり当たりくじを引けるとは思っていなかったが、何もないというのはあまりに残念すぎる。というのも、ヨルダの森に転がるベリーに片っ端から探知魔法をかけて魔力を探っていったのだが、どのベリーもただのベリー。期待した私が莫迦だったのだろうか・・・。

「帰ろっかな・・・」

 もう少し情報を得てから再度調査したほうがよさそうだ。森という場所は悪くない。木の葉が生い茂り、こちらの視界を奪う森でなら、1ページぐらい見つかるかもしれない。
 私は調査を打ち切り、森の出口へむけて歩き出した。
 その時。

「・・・あれ?」

 花咲く森の道。その真ん中にポツンと転がる、赤いラズベリー。
 あんな道のど真ん中に、ベリーなんてあったっけ?

「・・・! あ・・・」

 なんだろう、この、体が根っこから粟立つ感じ。あのベリー・・・なんだか、尋常じゃない威圧感を放っている。

「まさか・・・」

 もしかしたら、私はここへ来て大当たりくじを引いたのではないだろうか。そっと、探知魔法をかけてみる。
 やはりあのベリーは、普通の魔法使い・・・いやそれ以上の魔力を有しているようだ。

「もしかして!」

 私は駆け寄り、ベリーを拾い上げた。禁断の書のもとへ持っていく価値はある。食用のベリーが魔力を持つなんてこと、普通はありえない。
 

「やっと見つけたわ」

 心の中でメイリアに感謝の言葉を述べ、あとで本人にも礼を言おうと決心してから再び歩き出そうとした、その直後のことだった。

『・・・そう簡単に捕まるものですか・・・』

 ベリーを握る右手の中から、突如不気味な声が響いた。それは女性の甲高い悲鳴のようにも、老婆の低い唸り声のようにも聞こえた。

「・・・え」

 その声の正体を確認する間もなく
 私の視界は、一面植物のツルで覆われていった。


 クロード〜レーズンタウン「学生寮前」にて〜

 明るい日の光を浴びながらの昼寝は最高だ。よく、気付いたら雨が降っていましたということもあるが、もう慣れたし。
 昼寝は、晴れた日の僕の日課だ。

「なーに寝てんだよ」

 突然本らしきもので顔面をぶっ叩かれ、夢の世界にワープしかけていた僕は、一気に現実世界へ引き戻された。

「ぶっ・・・いったあ・・・」

 鼻を強打し、痛さのあまり顔をしかめる。

「リリアが一生懸命禁断の書について調べてくれているのに、お前は昼寝かよ。呑気だなオイ」

僕を殴った犯人は、半田だった。

「そういう半田は、今まで何してたのさ」

「数学の補習だよ。お前らのレベルじゃついていけないし」

「へえ」

 そういえば前、吹雪が同じようなことを言っていたな。数学かあ。あまり難しいとは思えないけど。

「難しいよ。お前が無駄に頭いいだけだ」

「そうか。褒めてくれてありがとう。・・・って」

 今・・・こいつ、僕の心読んだ!?
 まさか、もう読心術を身に付けたんじゃあ・・・。
 驚愕する僕を見て、半田は呆れたような表情を浮かべた。

「・・・なに驚いてんだ? お前の顔見てりゃ考えていることなんてすぐわかるよ。お前、結構顔に出やすいよな」

「う・・・五月蠅い!! で? リリアはどこにいんの!?」

 ついかっとなって、語調を強めてしまう。半田は困ったように頭を掻くと、こう言った。

「それがさあ、ヨルダの森に行ったっきり、帰って来ないんだ。だから探しに行こうぜって言いたくてここに来たんだけど」

「・・・え? ならそう言ってよ。数学の補習があったとか言ってないでさあ」

「いや、お前が何してたのって言うから・・・まあいいや。とにかく、行こうぜ」

「うん」

 なんだか、嫌な予感がする。
 僕と半田は、ヨルダの森へ向けて走り出した。