二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.6 )
- 日時: 2012/08/09 18:27
- 名前: シャオン (ID: uUme72ux)
- 参照: http://http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
第二話 人の善意に感謝しよう!
箱庭学園食堂内にて、食券の引き換え機の前に1時間程前から立ち続ける男の姿がいた。
「人生と言うのは実に理不尽だ。残り150円を所持しているこの俺に選択を迫るとは・・・」
八尾図処世1年2組は長方形型の白い財布を尻のポケットから取り出して、中身を確認していた。
「これじゃあこの食堂のスイーツが食えねぇじゃねえか!」
黒いストレートヘアーの髪を乱して絶叫した。その声で周りの生徒が一斉に男を見る。周りの生徒からの痛い視線が処世に集まる。しかし、処世はそんな事に気がつかない。目の前に置かれた自分の大好きなスイーツの食券の引き換え機を食いつくように見ている。
「なぁ、悪いけどどいてくれないか?後がつっかえてるんだけど」
未だに周りからの視線を集める処世に話しかける男がいた。処世はああ、悪いと苦笑いの表情を浮かべて言い、その場をどく。処世は、さっき自分が食いついて放さなかった引き換え機の方をじーと見る。すると、男がピッと処世が欲しがっていたスイーツのボタンへと手をかけた
「!!」
衝撃だった。処世が欲しくて止まなかった「特大ジャンボパフェ(3500円)」を何の躊躇もなく買う人がいるとは考えられなかった。
「お前、それ本当に食えるのか?」
処世は尋ねる。この「特大ジャンボパフェ」を買った勇者に。ざわざわと食堂が賑っているのに、なぜか処世は静かに感じた。男は静かに振り向き、正体を晒す・・・
「俺に問題があるとすれば、食えるかどうかじゃない。俺の舌を唸らせる甘さを持っているかどうかだ」
思いっきり良い顔をした無心だった。
10mもあるかないかのテーブルで二人は一つのパフェを分けあってそれを食していた。
「いや〜ここにも同士がいるとは思いもしなかった!」
処世は、皿に盛り付けられたパフェを貪り食いながらしみじみに語りだす。無心はテーブルに左の腕の肘を着き、処世のパフェの食い方を呆然と見ていた。
「パフェを恵んでくれてありがとう!俺、八尾図処世。気軽にヤオって呼んでくれ!」
頬にクリームをたくさん付けながら喜びの表情を浮かべる処世に対し、無心は曇った表情をしていた。どうやら、嫌な事を思い出す発作みたいなものが出かかっているようだ。
「・・・棉柄無心だ。別にお前と馴れ合うつもりもないんだが・・・よろしく」
無心は自己紹介とも思えぬキツイ一言を言い放ったが、処世はよっぽどパフェを奢ってくれてうれしかったのか、それともただのポジティブなのか、ニコニコと笑っている。
「そんな釣れないこと言うなよ〜何か俺に出来ることはないか?パフェくれた恩返しに!」
「なら教室に帰れ」
即刻帰還命令。無心はとにかくこのブルーな自分を他人に知られるのが嫌なため、ひどい事を言ってしまった。さすがに無心も、言い過ぎたかな?と思い、処世の顔をチラッと見て、そして驚愕した。満面な笑みで無心を見ていた。ひどい事を言ったのにニコニコ笑っている。まるで安心院さんみたいな人だな〜と無心は思った。
「え〜嫌だよ!何か無心が困っている事はないか?俺の出来る範囲で全てやってやる!」
「分かった分かった・・・じゃあ、世路神骸って知ってるか?」
無心は突然、安心院さんを狙っていると言う世路神骸の名を口に出した。なぜ、処世にその事を聞くのかと言うと、世路神骸は最近、ここの学校に転校してきたらしく、2年マイナス13組に在籍していると言う情報を安心院さんから聞いたのだ。処世は、呟くように骸・・・骸・・・と名前を連呼した。
「ごめん、知らないや!」
処世は、あはは、と頭をくしゃくしゃに掻いて笑った。
「ならいい。悪いな、変な事聞いて。俺、少し用事があるからここを離れるわ」
無心はそういい残して席から立ち上がると、さっき入った出入り口に足を進めた。
「そうそう、言い忘れてましたが・・・」
無心は付け足すように言ってくる処世の方をゆっくりと振り向いた。
ざわざわと騒ぐ食堂、しかし、これが一瞬で静まり返った。しかし、そんなのは5秒位ですぐに賑やかになった。
人の悲鳴によって・・・