二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.112 )
- 日時: 2012/10/07 23:49
- 名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
- 参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode
第三十三話 乱闘ですね・・・これは
榑林 秤。無能の彼は、特に世路神に敵意を見せず、本を片手に悠長に読んでいる。世路神は両手に持っているカッターナイフに僅かながら力を入れた。それを見たのか知っているのか、榑林は、
「そのカッターナイフで私を串刺しにしようとするのは結構だけど、ちゃんと周りを見た方が良いよ」
「!!」
世路神はバッと周りを見ると、そこにはビニール式の透明で長方形のような形をした壁がズラッと並べられていた。そして、その壁の中には何やら液体が入っている。このままカッターナイフを投げれば、この壁を確実に貫き榑林は確実に串刺しになるのだが、それでは壁から流れる液体で何かしらの苦痛を伴うはずだ。
この体は元々世路神のものではないし、このまま投げれば良いのだが、持ち主の体をぶっ壊すのはさすがの世路神も気が引ける。世路神は黙ってカッターナイフを懐にしまった。
「良い判断だ」
ペラッと本のページをめくって榑林は言った。
「その容器には硫酸が入ってるんだよ。もしこのままその凶器を私に向けて投げていたらお互いあの世行き」
世路神は鋭い目つきで榑林を睨んだ。その瞬間、ピリピリとした空気がこの一体を漂う。それを感じたのか榑林は手を自分の顔の前に出してぶんぶん振った。
「おっと、私は闘いに来たんじゃないぞ!?寧ろ味方になりに来たんだ!」
しかし、世路神にはそんな言葉は信じられない。なぜなら彼はマイナスだから。世路神はスッと壁と壁の隙間をするり抜け、懐からカッターナイフを数本取り出して手裏剣のような要領で飛ばした。
「わっ、わっ!?」
榑林は情けない声を出しながら、制服の裏から分厚い化学についての本を取り出して、飛んでくるカッターナイフを全て防いだ。
「危ないじゃないか!私は味方だっ・・・・て、うわっ!」
榑林は向かいにいる世路神にそう言った瞬間。ふと上を見たら数本のカッターナイフが榑林に向かって落下している所だった。榑林は前を向いたまま後ろにダッシュする。カッターナイフはさっきまで榑林が立っていた所をザクザクと突き刺した。
「何度言ったら分かるんだ!だから私は味方だって!」
アタフタと焦りの行動を見せる榑林。だが、世路神は問答無用にカッターナイフを手に、榑林の下へと突っ走る。
「味方になるって言う奴に限ってロクな奴がいないんだよ!」
「えーーーー!?」
世路神は榑林の顔を本ごと突き刺そうとカッターナイフを突き出した。追い詰められた榑林は咄嗟に上半身を後ろの方へと曲げ、カッターナイフを見事にかわす。しかし、普段やっていない体勢故に上半身から床に着地した。それをチャンスに思ったのか、世路神は突き出したカッターナイフを起用に宙で回転させ、刃向きを下に向け、本体をキャッチする。そして、それを榑林の下へと下ろしていく。
「ちょっと待ってくれよ世路神 骸!私は君たち一族のことを知ってる!」
「!?」
その時、世路神のカッターナイフが榑林の本の手前で止まった。それを見た榑林はふぅ〜と溜め息を吐く。
「ああ、知ってるよ。本当n「君、どこでその話を聞いた!!」」
榑林が語りかけた瞬間、世路神は彼の胸倉を掴み、こちらに引き寄せた。世路神は表情を変え、まるで怒りに震えているのか険しい表情をしている。
「言うから放してくれ。苦しいじゃないか」
世路神は手を放した。榑林はスッと立ち上がり、世路神に掴まれた所を綺麗に整える。
「そうだなぁ・・・どっから話すべきか・・・」
「最初から全てだ!」
世路神は大きな声で榑林にそう言うと、榑林は静かに口を開いた。
一方その頃、転生者と名乗る男はカードをシャッフルしながら廊下を歩いていた。
「よーし、今度は俺を占ってみよ!それっ!」
男は期待に胸を膨らませながらカードを一通り混ぜると、彼は目を瞑って一番上にあるカードを引いてみた。少しずつ目を開けてみると、
ドクロマーク
「・・・」
さっきまで期待していた分、喪失感が半端なく男の表情は無になっていた。男は少しカードを見つめると、軽く溜め息を吐いてそれをしまった。
「やっぱ未来は自分の手で切り開かないとね!」
アハハッと、男は馬鹿笑いをして歩いていると一人の少女が向かい側からボロボロの制服でやって来た。オレンジ色の髪、耳元の両サイドから垂れる髪が胸の辺りまで伸びている。
それを見た男は、
(よし!!運命早速切り開いちゃったよ!何だよやっぱカードは当てにならないな〜)
心の中でガッツポーズを取って、おおいに喜んだ。
そんな事は知らない少女・・・じゃなくて燈蔵は、男を普通にスルーつもりだった。が、
「ねぇ、そこの子!ちょっと道を聞きたいんだけど!」
男は燈蔵の前に立ち、ニコニコと笑って燈蔵に接してきた。すると、燈蔵はニコッと微笑んだ。有り得ない。無心がいたらその一言に尽きるだろう。燈蔵が他人に微笑みを見せるとは世界崩壊レベルであるのだ。それを、会って数秒の男にそれを向けるなどと言うことは、極めて稀。 その笑顔を見たその瞬間、男の心臓は脈打った。
(かっ、かっ、可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!)
男がそう思った瞬間、燈蔵は笑んだままこう言った。
「分かりました。あの世に行きたいんですね!」
「えっ?」
グサッ
何かが突き刺さるような音がする。その音の出所は男の腹部からによるものだった。その腹部にはサバイバルナイフが突き刺さっている。男はカタカタと身体を震わせ、倒れた。男は倒れながらも燈蔵を見る。燈蔵はそれに答えるかのようにニコニコと笑っている。
「もうすぐ着くはずなんで頑張ってください!」
燈蔵はそう言うと、前に倒れている男を跨いで再び足を進めた。何とも呆気なく、そして情けない男は二度目の人生を終えて、これから神様の下へと再びお世話になる予定。彼の人生を知るものは数人しかいないだろう。何とも寂しい最後になってしまった。
「と言うわけには行かないのが現実さ!お嬢さん」
「!!」
燈蔵はバッと振り向いてそれを確認した。そこには刺されたはずの男が悠然と立っていた。しかも、腹部にはナイフが突き刺さったまま。
「何で、何で死んでないんだよ!」
燈蔵は驚きの表情を浮かべて言った。男はその問いにふっと笑って、腹部に刺さっているナイフを抜き、そして制服の中からある物を取り出した。それは穴の開いた本だった。
「本!?」
「そう、本。どっかの科学者もどきが俺にくれたんだよ」
「ま、俺にはこんな本読む気なんてさらさらないけどな」と軽く付け足すと、ナイフをポイッと床に捨てた。
「残念ながら俺が行きたいのは天国でも地獄でもない。アンタと俺のバンジンロードさ!」
何やら恥ずかしい台詞を吐き捨てながら、燈蔵に告白した。
「嫌だね、行くなら二次元とかポリゴンとかにしな!」
アッサリ振られたが、彼には余計燃えるだけだった。