二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.116 )
- 日時: 2012/10/08 23:20
- 名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
- 参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode
第三十四話 恋は盲目
転生者と呼ばれる男は穴の開いた本をその場に捨て、ある方向をじーと見つめている。男の見つめる先はボロボロになった制服を纏う燈蔵の姿があった。
男はなぜか燈蔵のたった一度の笑顔でハートを貫かれたらしい。顔立ちも良い燈蔵は確かに大人しくしていれば可愛らしいのだが、昔から気性が激しい彼女に誰も言い寄ってくる男はいなかった。
だが、この男の場合は違う。どんな性格でも対応できると言う自信に満ち溢れている。そんなうざったい好意を受けている燈蔵はいきなり自分に告白をしてきた意味の分からない彼を鋭い目つきで睨んでいた。
「ああ、その目つきが俺の男心をくすぐるよ!」
胸に手を置き自分の心臓の鼓動を聴きながら微笑んでいる。それを見た燈蔵は、
「キモイから私の視界に入るな。眼が腐る」
燈蔵は男を罵倒する。しかし、男はへこたれなかった。寧ろそれを喜んでいるかのように満面の笑みを浮かべる。
「まぁまぁ・・・」
そう男が一言区切って何か笑顔で言うと、
「!!?」
一瞬でその男は姿はどっかの漫画みたいに跡形もなく消えた。燈蔵は驚きの表情を浮かべて男の行方を見失ってしまった。と、思ったら、
「そう言いなさんな」
さっきの言葉の続きを言いながら、男の声は燈蔵の背後に回っていた。それは良いのだが、燈蔵は何か妙な感覚に襲われていた。さっきから自分のお尻辺りからスースーと冷たい風が当たるような感覚が消えない・・・。まさかと思った瞬間、燈蔵は顔を頬を赤くして。
「人のスカート捲ってんじゃねぇ!!」
ブンと音が聞こえるほどの回し蹴りが背後へと向かった。だが、標的はそこにはいない。
「!!」
燈蔵が辺りを見渡したがそこには男の姿はない。
「この性格で水玉とはとても良いギャップですな〜」
燈蔵はハッとして下を見ると、そこにはしゃがんだ状態で顎に手を置いて何やら考察している男の姿があった。自分のパンツの柄を見られたことに恥ずかしさや怒りが湧いてくる燈蔵。すかさず懐からナイフを取り出して、しゃがんだ状態で未だに自分のスカートを見つめる男にそれを振り下ろす。
「!?」
しかし、振り下ろした先にはあの男の姿はすでにいなかった。
「君ってさぁ、天然だったりする?」
また背後から声が聞こえる。しかし、今度はお尻には何も感じない。燈蔵はバッと後ろを勢い良く振り向くと壁にもたれ、腕を組んだ状態でその男は笑いながら言う。
「クソッ、ちょこまかと動きやがって!一体どんなスキルを持ってやがるんだ!」
「ああ、これはスキルじゃないよ。これは神様に作ってもらった身体。俺が色々注文していく内に身体能力が常人の数十倍になっちまっただけだよ」
男は自分の右手を見て、そう言った。燈蔵も世路神と同じような事を思ったであろう。コイツ・・・中二病だ。だがしかし、結果的にこの男は最強とも思えるチートな身体能力を兼ね備えているのは確かなようだ。さっきのあの眼でも追えないあのスピードはまさしくそれを証明していた。
ならこちらにとっては分が悪い。安心院さんから貰ったスキルもあるがなんせ貰ったばかりなので使い勝手よく分からない。そうなると、燈蔵が考えることは一つだ。
「お前は私がいつか必ずぶっ殺す!」
「うおっ!」
そう言うと、どっかの爆弾魔からくすねて来たのだろう。何処からかスモークグレネードを取り出し、床に叩きつけた。スモークグレネードと言うのは、その名の通り、大量の煙をばら撒いて敵の視界を遮る物だ。殺傷性は無い物の、逃げる時なんかに良く使われている。もの凄い煙が辺りを一瞬にして包み込んだ。
その彼女の姿は煙の中へと消えていった。そして、煙がどんどん薄れていき、煙が全て消える頃には彼女の姿はすでにない
「釣れないな〜まぁ、そこもまた良い!」
男は手をグッと握り、不敵な笑みを浮かべた。その時、「あっ!」と何か思い出すように声を上げる。
「名前聞いてねぇや!」
ポンと掌に丸めた手を置いて言った。
「まっ、いっか!また俺を殺しに来るんだから!」
そう言うと、ご機嫌に鼻歌を歌いながら廊下を歩いていった。