二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.128 )
- 日時: 2012/10/20 21:27
- 名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
- 参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode
第三十五話 見える敵と見えない敵
無心side
俺、綿柄 無心は今、自分の教室へと足を進めている。そんな自分の中で色々な物がごちゃごちゃと混ざり合っていた。いるはずのない俺の義理の妹である燈蔵・・・その燈蔵にくっ付いてる俺を苦しめた痣。そしてその妹が俺の仲間を傷つけたということ。だが、幸い偶然戻ってきた保健委員長により全員の怪我は全て癒えぐっすりと寝ている。そんな謎だったり安堵だったり怒りだったりと、自分の心の中でそれが混ざり合い、複雑になっている。
「クソッ・・・何が何やらサッパリだ」
つい呟いてしまう自分の本音。そうこうしながらも自分の教室へと到着した。「これから先どうなるのやら・・・」と呟き何気なく教室に入ると、
「!!」
俺の左の方に並んでいる席の列の四番目辺りに見慣れない顔の男が机の上で足を組んで読書していた。普段、十三組に来るのは俺と黒神であり、他の奴が来るとは予期しているはずもない。俺は驚きのあまり数歩後ろに下がってしまった。
「そんなに驚くこともないだろう?たまには来るさ俺だって」
向こうの席に座っている男はそう言うと、小さな本をパタンと閉じ制服の裏へと納めた。黒い髪に黒い眼、日本人ならでは容姿だ。俺ははぁ〜と軽い溜め息を吐いて、その男の席の前の席へと着席した。
「「喜神化」だっけ?それがお前のスキルか」
「・・・観てたのか」
「ああ、観てた。そして敵がお前の義妹だって言うことも聞いたぜ」
男は何の表情も見せず、俺に語りかけてくる。まるで感情がない過去の自分を見ているかのような気分だ。
「俺の名前は、黒闇 零(くろやみ ぜろ)だ。確かお前は、綿柄 無心だな。会えて光栄だ。よろしく」
「!?・・・なぜ俺の名前を・・・」
「お前は悪平等(俺たち)の中ではちょっとした有名人だ。悪平等(俺たち)に入って約数日で成果を挙げて、数ヶ月も経てば安心院さんとも肩を並べる実力者になり、そしてそのまた数ヵ月後、なぜか悪平等(俺たち)の元を去った。」
そういうことか、コイツは安心院さんの端末だ。とにかく、俺に危害を加えるy・・・・
ドクン
俺はそう心の中で呟いている途中、心臓が大きく脈打った。次の瞬間
、俺の視界に過去の光景がまたフラッシュバックに流れ出した。この感じはどうやらまたあれらしい。俺は苦痛(精神的な意味で)に顔を歪ませ、俯いた。
その様子を見ていた零も眉を顰めた。
「どうかしたのか?」
「いや・・・いつもの発作だ。・・・薬があるから問題ない」
俺はそう言いながらポケットにあるカプセル型の薬を取り出すと、それを一気に口の中に放り込んだ。
少しすると、すぐに落ち着きを取り戻した。ふぅ〜と軽く溜め息を吐いて再び零の方へと見る。暗闇は再び無表情でこちらを見ていた。
「悪平等(俺たち)から抜けたのは病気が原因か?」
「いや、違う。原因は俺が端末になった以降の話だ。それ以上は言えない」
「・・・そうか」
零は無表情だがどこか残念そうな雰囲気をだしてそう言った。零には悪いが、いくらなんでもここから先の事は自分でも忘れたい位のトラウマなのだ。少しの間、教室に沈黙が流れた。さすがにこれは不味いと思った俺はこの場を和ませようと、懐からグミが沢山詰まった菓子袋を取り出し、
「食べるか?」
と聞いてみた。が、
「菓子?ああ、俺甘いものとか嫌いなんだ。ほら糖分摂りすぎると糖尿病になるだろ?それに知ってるか?甘いものって頭の回転を悪くするらしいぜ」
思ってもいない毒舌発言。確かに糖分を摂りすぎるとあまり身体に良くないことは承知している。俺はこれでも健康に気を使って、毎日食べるミルクチョコレートをブラックに変え、そして毎朝食べる食パンには軽く砂糖を塗す程度にしているのだ。最近始めたのだがな・・・。
「そうか」
俺は静かにそう言うと、菓子の封を切り、色々な形のグミを手に取り、一つずつ口に放り込む。そして・・・・静かになった。さっきの空気を変えようと思って菓子を出したのだが、それが原因でより一層に気まずくなったような気がした。
「そう言えば何でお前は義妹と闘ってたんだ?兄妹喧嘩ではなさそうだがな」
零は机の上に置いてある足を降ろして聞いてきた。俺は「あ〜・・・」と言いながら零からの視線を逸らした。まぁ、実際は兄妹喧嘩のようなものだが、他から観ると、闘ってるようなものかな?
いや、兄妹喧嘩だと思ってんのは俺だけかもしれないな。燈蔵は燈蔵で俺を本気で殺しにかかってるし・・・。
そう考えると、俺はまたはぁ〜と溜め息を吐いた。俺は再び零の方へと視線をずらすと、アイツの視線は別の場所にあった。
「?・・・どうs「シッ!」」
言葉を発そうとした瞬間に、零に遮られてしまった。俺は零の視線の先を追ってみた。零の視線の先には教室の壁。ではなく、壁の向こうなのだろう。俺も瞬時に理解が出来た。
その時、
ガコォン
と零は机の中に収納されている左足を蹴り上げた。零の蹴りにより飛ばされた机は綺麗な放物線を描き、天窓を突き破って壁の向こうへと落下していった。すると、
「何!?」
と壁越しから男の声が聞こえる。そして、すぐにトタトタと逃げ出すような足音が聞こえたが、すぐに消えていった。零は静かに立ち上がり、そして、
「気をつけろよ、綿柄 無心。見える敵は何とかなるけど、見えない敵は対処が難しい。それを己に刻め」
「なっ!どういうことだ!?」
「すぐに分かる」
零はそう言うと、教室から出て行った。