二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.26 )
- 日時: 2012/08/19 15:56
- 名前: シャオン (ID: Wz7AUOMy)
- 参照: http://http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
第九話 忍び寄る影
平穏で静かな保健室。保険委員、八橋谷津派は、今日の患者数を記録していた。彼女、八橋は、保健室の患者数を0にしようと自ら積極的に活動する真面目な性格ゆえ、周りから硬い八橋と呼ばれている。
「ふぅ〜とりあえず終わった!いや、まだ保健室を綺麗にしなくちゃな!」
八橋はノートをパタンと閉じて、席から立ち上がった。その瞬間、
バタンッ
保健室の扉を叩きつけるように開ける音がした。それと同時に八橋は驚きのあまり尻もちを着いてしまった。
「なっ、なっ、なんなんですか!扉を開けるときは静か・・・にぃ!?」
八橋は傾いた眼鏡を元の定位置の場所に掛けて、いつものマジメッぷりを見せつけるように言うつもりが、黒神の鬼のような形相を見て最終的には疑問形になってしまった。
「す、すまない。急患が出てしまってな・・・」
ハァハァと息を切らしながら黒神は、背中におぶさっている意識のない無心をチラッと見た。
「わ、分かりました。とりあえずそこのべっドに寝かせましょう」
八橋も、今の状況を把握したのか黒神にベッドの方に指を差した。黒神は静かに頷くとベッドに向かい、無心を寝かせた。無心は苦しそうな表情で静かに寝ている。
「なぜこうなったのか教えて頂けませんか?黒神生徒会長」
八橋は真剣な表情で黒神に尋ねた。黒神は無心から八橋へと視線をずらして、ああと応えた。そして、少し時間が経ち、黒神は全て話し終えた。八橋はなるほど、と指を顎に当てて考えている様子だった。
「今の話からすると棉柄君はPTSD(心的外傷後ストレス障害)に近いですね〜・・・」
「何だそのPTSDとは?」
黒神は顔を歪ませた。
「PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、過去にあった虐待、交通事故、自然災害、犯罪などのトラウマが時を経て、その時の悪夢が再びよみがえる事です。無心君はそれに近いですね」
八橋はまるで医者みたいな解説を言い終えると、すぐ傍に置かれている椅子に座ると、机の引き出しを開けて、何かを探り始めた。
「トラウマ?」
黒神は繰り返すように言った。
「はい、トラウマです。とりあえず立っているのもなんなんで、そこの椅子にでも座ってください」
八橋は引き出しの中の物を探りながら片手で椅子のある場所を指差した。黒神はただ黙ってその椅子に腰掛けた。
「で、そのPTSDは治るのか?」
「言いにくいのですが・・・完全に治るのはまず無理だと思われます」
八橋は手を止めて、苦虫をまるで食べたかのような表情を浮かべて言った。黒神も真剣にそれを受け止めた。
「そうか・・・」
「これを見てください」
八橋は引き出しの中から一枚の紙を取り出して、黒神に手渡した。黒神はそれを受け取ると、驚愕した。黒神は紙に書かれている内容を理解したのか、身体を震わせた。
「この病の恐ろしい所は人を死に追い込むことです」
八橋は暗い表情をして言った。しかし、黒神は紙をクシャッと握り、ゴミ箱に投げ捨てた。
「いや、まだ手はある」
「え?」
黒神の突然の言葉に、つい問いかけてしまう八橋。
「少し棉柄1年生を借りてくぞ」
黒神はそう言うと、席から立ち上がると、ベッドに寝ている無心の方へ歩み寄った。
「ちょっと待ってください!黒神会長!」
八橋も慌てて立ち上がった。
「何だ?」
「何だ?じゃないですよ!患者を動かさないでください!」
八橋は声を張り上げて言う。しかし、黒神はふっと笑ってこう応える。
「こいつは13組だ。異常なくらい恵まれてる身体を持っているのだから大丈夫だ」
黒神はそう言うと、無心を背中に背負い邪魔したな!と笑いながら言って部屋から出て行った。八橋は呆然とその状況を見てこう呟いた。
「何なの・・・一体・・・」
暗く湿った部屋で、1人で座って不気味な笑顔を浮かべる男の姿があった。
「ヒヒッ、やっとスキルが使えるようになった〜」
男は両腕を上へと筋を伸ばして、こう言った
「さぁて、ここからがリベンジ戦だよ・・・ムジナ君」