二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.30 )
日時: 2012/08/21 20:34
名前: シャオン (ID: Wz7AUOMy)
参照: http://http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode



 第十話 夢と心は一体だ


 無心視点

 う〜・・・なんだ?俺どうなったんだ?確か・・・黒神と話してる最中にあの発作が・・・。とにかく目を開けなくては・・・。俺は周りの状況を確認するべく、静かにまぶたを開けた。しかし、眠っていたせいか視界がぼやける。俺は目を擦って周りの状況を今一度確認した。俺の周りに広がるのは見覚えのある天井が目に入った。ここは・・・まさか。俺は立ち上がって、周りの光景を目の当たりにした。机が綺麗に並べられているのと、誰もいない教室だった。やっぱり思った通りだ・・・ここは夢の中だ!とすると、あの人も・・・

 「久しぶりの登場。みんなの安心院さんだぜ〜」

 やっぱり・・・。俺は声のした方に顔を向けた。すると、そこには席に座っている制服姿の安心院さんが俺を見ていつもの微笑みを浮かべている。

 「何ですか、安心院さん。久々の登場でテンション上がるのは分かりますけど、あまり俺をイラつかせないでくださいよ?」

 すると、俺の一言に影響を受けたのか、安心院さんの顔が一瞬・・・笑っていないような気が・・・。

 「おいおい、こんなぼくの戯言を聞く事になった君が悪いんだろ?」

 そうだ、何で俺がこんな所にいるんだ?

 「すみません、安心院さん。さっきの事は謝りますんで、俺がここにいる訳を教えて頂けませんでしょうか?」

 その時、俺の誠意のこもった言葉が通じたのか、安心院さんは両手を広げて優しそうな微笑みを見せて応えた。

 「仕方ないな〜。まぁ、さっきの事は気にしてなかったんだけどね〜」

 絶対気にしてたろ、この人。まぁいい、ここにいる理由さえ聞かせて貰えれば・・・。俺は少し、他人事のような気持ちでいた。

  
 「君、死にかけてるよ」


 「!!」

 安心院さんのさっきの微笑みから一気に変わり、冷たい笑顔を見せ、俺の胸辺りを指差した。俺は思いもよらない返答で表情を歪ませた。おいおい・・・まじかよ・・・何で俺が・・・たかがトラウマだぞ?本当に信じられない俺は、口をゆっくりと開く。

 「なぜ、俺が死にかけてるんですか?」

 その瞬間、安心院さんはふっ、と元の表情に戻った。

 「どっかの世路神マイナスが君の心を侵食ハッキングしてるんだよ。まぁ、正確に言うと死んではいないけどね」

 あの野郎・・・また性懲りもなく仕掛けてきやがったな。それにしても、俺の「問答無用ダイレクトアタック」を受けた奴は最低でも半年はかかるのに、それをわずか数日で?俺は、骸を完全に封じ切れなかった悔しさを胸の奥から溢れ出した。

 「クソッ・・・とっとと骸をまた封印してやる!」

 俺は我を忘れ、教室の出入り口へと足を進めようとした。その時、

 「誰を封印するって?ムジナ君」

 聞き慣れない声が聞こえた。しかも、ここには俺と安心院さんしかいないはず。俺は、まさか・・・と思い、後ろを振り向いた。


 「初めまして、ムジナ君。世路神骸だヨ」




 












 第三者視点

 
 無心が振り向いたその5m先に世路神が立っていた。無心は拳を強く握り、世路神を睨んだ。世路神はその無心の様子を面白がっているのか・・・ただ笑っていた。

 「そんなに見ないでくれヨ、照れるじゃないか。僕は友達がいないからそんなに見つめられる事に慣れていないんだヨ〜」


 「なぜ・・・」

 無心は口に出そうとするが、色々な感情が込み上げてきてうまく口に出せない。安心院さんはそんな様子を見て、ニヤッと笑った。

 「彼は君の心を侵食してるんだぜ?夢と心は一体だ。彼が現れるのは寧ろ当たり前のことさ」

 安心院さんは状況が把握できない無心に説明をした。

 「説明ありがとう、安心院さん。いや〜ムジナ君に会えて嬉しいな〜今でも少し興奮してるよ〜」


 「・・・」

 世路神はへらへらと笑って無心の方へ歩みよって来る。無心は険しい顔で何も言わないままそこに突っ立っている。

 「どうしたんだい?何で突っ立ったままでいるのさ。早くそいつを倒せよ」

 安心院さんは人事のように呼びかける。しかし、無心は動かない。まるで何か考えているかのように。そして、少しずつ世路神は近づいてくる。

 「安心院さんの言うとおりだよ。僕を倒さないとムジナ君は死んじゃうヨォ?」

 薄気味悪く言う世路神。それに対して、無心はただ黙ったまま目を閉じた。

 「ん、どうしたのかな?」

 世路神は無心の理解のできない行動に一瞬戸惑いながらも、至って平静を保っていた。

 「さぁな」

 無心は無表情のまま、そして俯いて応えた。

 「ムジナ君・・・君の考えている事は全くもって僕に理解不能だけど。隙を与えてくれていると言うのは確かだ」

 なら、と世路神はそう付け足して口を開いて笑った。

 「殺しても良いよね!」

 世路神は無心の方へ突然跳び上がり、そして両腕の裾からカッターナイフを取り出した。これが意味することなど、誰でも理解可能だ。
 世路神が両手に装備しているカッターナイフの刃が無心の頭上へと降ろされようとしている。無心は自分の命の危機だと言うのに、まだ目を閉じている。






 「じゃあね」





 世路神はそう言うと、自分の持っているカッターナイフを振り下ろした。