二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.38 )
日時: 2012/08/23 21:25
名前: シャオン (ID: Wz7AUOMy)
参照: http://http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode


 第十二話 眼帯

 無心視点

 俺・・・棉柄無心は今、自分の家のソファーに寝そべってテレビを眺めている。しかし、平日の午後と言うのは退屈だ。こうして学校を終えてリビングで寝転がっていても何一つやる事もない。これでは永遠の夏休みか冬休みだ。俺は自分の顔の横に置いてあるリモコンを手に取り、ピッ、ピッ、とボタンを押すたびに鳴るコールを聞きながら、番組を変えていく。


 「たっだいまー!」

 あっ、帰ってきた。玄関の方から聞こえる女の声。まぁ、誰かは想像つくがな・・・。

 「あれ〜誰もいないのかな〜?」

 ドタドタとリビングのソファーへと足音が近づいてくる。家の中では走らないでくれ・・・頼むから。

 「無心君み〜つけた!」

 そう言って俺を首から抱きしめる赤裸々。やめろ・・・絞まる・・・本当に絞まる・・・。俺の意識が一瞬にして朦朧もうろうしかけているから。

 「本当に心配だったんだよ?無心君倒れたって言うからダッシュで帰ってきたんだよ?」

 明るく言う台詞じゃないぞ赤裸々。それに、俺を心配に思うならその手を退けろ。いかん・・・首が絞まって声が・・・。結局、ここでも「喜神化ゴットラック」を使い、俺は九死に一生を得た。







 









 俺は首元を擦りながら、時計を見てみると、夕飯の時間を示していた。ああ、もうこんな時間かぁ・・・。俺はソファーから立ち上がり、側に配置されている棚の上の財布をポケットに装備する。

 「赤裸々、行くぞ〜」

 「え、どこか行くの?」

 ヒョコッと洗面所から赤裸々は顔を覗かせた。しかし、相変わらずその眼帯は外してない・・・。ん、そう言えばこいつの目、見たことないな・・・。

 「飯食いに行くんだよ。ほらっ、さっさと準備しろ」

 俺はゆっくりと赤裸々の方へと近づいていく。その時、赤裸々は急に頬を赤らめた。

 「ちょ、ちょっと待って!今、着替えてるから!」

 口をあわわと動かして、必死に俺が来るのを拒む。・・・はよ着替えろ。

 「早くしろよ?」

 「う、うん!分かった!」

 それから数分が経ち・・・

 「お、お待たせ!」

 テンション高く、ピョンと跳ねて洗面所から現れた。

 「遅いぞ、早くいk・・・」

 俺は時計をチラッと見て、赤裸々が立っている地点へと視線をずらした。さっきまで出かけていた言葉が衝撃を受けて出ない。まさか・・・あの赤裸々が・・・。私服姿なんて・・・。いや、でも両目の眼帯は外してないのか・・・。

 「ん、どうしたの?」

 「・・・いや、何でもない」

 俺はとにかく平静を装い、行くぞ、と赤裸々にそう付け足して言った。あ〜焦った・・・まさかこいつがおめかしするなんて・・・。

 「う、うん・・・」

 その時、赤裸々の表情が少し曇ったような気がした。しかし、何振り構ってられない、早く行かないと店が満員になっちまうからな。俺はとにかく玄関前に立ち、靴を履いてスタンバイする。赤裸々も俺の後を付いて来て靴を履く。

 「じゃあ、出発!」

 扉を開けると、辺り一面真っ暗。すっかり日が暮れてしまっている。 俺は急いでいたため思わず赤裸々の手を掴み、引っ張って走った。赤裸々は、え、無心君!?、と驚いたような声で言うが、俺は全く聞こえていないふりをした。しばらくの間、ずーと俺は赤裸々の手を引っ張っていたのだが目的地に到着すると、赤裸々は俺の手から自分の手を引き抜いた。

 「ん、どうした?」

 「な、な、何でもないよ!」

 赤裸々は顔を真っ赤にしながら少し強い口調で言う。
 
 「おい、お前熱あるのか?顔が真っ赤だぞ」

 「は、は、走ったからだよ!ちょっと火照っちゃって・・・!」

 
 赤裸々の話し方が何かぎこちない。何だ?こいつ・・・。まぁ、良いや。とりあえずあまり人も来なくて安心したよ。 席も案外空いてそうだし。俺と赤裸々は夜のファミレスへと足を踏み入れた。

















 俺と赤裸々は椅子に座って、さっき注文した品を待っている。それにしてもこいつ本当にどうした?さっきの赤面は消えかかってるけど、問題はそれじゃない。家にいた時はテンション高かったのに俺が外に連れ出してからは、まるで借りてきた猫みたいに静かだ。

 「おい、大丈夫か?」


 「は、はい!何でしょうか?」

 俺が声をかけたのに驚いたのか、少し身体をビクッと震わせた。やっぱりおかしいだろ・・・元々おかしのかもしれないけど・・・。

 「だ・か・ら。大丈夫かって聞いてんだよ」

 「う、うん・・・大丈夫」

 「本当か?」

 「ほ、本当だよ!」

 あっ、また頬が赤くなりだした。このまま話すと、永遠に顔が赤くなってそうだから話題を変えるか。

 「そう言えばさぁ、お前の両目って何かの病気にかかってるのか?ずーと眼帯してるけど」

 話題が変わって落ち着いたのか、それとも落ち込んだのか赤裸々は俯いた。・・・あっ、まずいこと聞いた?

 「病気・・・かぁ、まぁ病気みたいなのかな・・・この眼は・・・」

 いきなりシリアスに語りだす赤裸々。やっぱ言わないほうが良かったのか?

 「悪い、今n「ううん、聞いて!」」


 「この眼は・・・呪われてるの。この眼のせいで家族には捨てられた。それに、施設のみんなからも避けられた。私はこの眼が憎たらしくてしょうがないし、消し去りたいとも思ってる。だから、眼帯してるの。この眼を見られないように・・・」


 なるほど・・・そういう事か。こいつは周りの人から避けられると言うトラウマを背負ってる。だからあんなにハイテンションに俺に話しかけてきたりとか、変なスキンシップを仕掛けてきたんだ。嫌われたくないがために・・・。


 「よし、じゃあその眼を見せてくれ」

 「!?」

 赤裸々は口を開けてこちらを見ていた。

 「その眼をしてるから嫌われた?はっ、ふざけるな。そんな物で俺はお前の事を嫌いになったりしないし、なるつもりもない。俺が嫌いになるって言ったら、やたらと人の感情を馬鹿にする奴か人生を漫画のように考える奴だけだ」



 「でも・・・「うるせぇ、お前は大切な仲間だ。仲間を助けるためならなんだってやる」」

 赤裸々は、俺の言葉が届いたのか、浅く頷くと自分の眼帯に手をかけた。俺はドキドキしながらこの光景を見ている。これが、初めての緊張を知った瞬間でもあった。全ての眼帯を取ると、赤裸々はゆっくりとまぶたを開いた。

 「何言ってんだ。めちゃくちゃ可愛いじゃねぇか」

 赤裸々の開かれた眼の瞳の部分がとても輝かしく紅かった。普通はみんな黒のはずなのだが、赤裸々だけはなぜかとても瞳が紅い。しかし、俺にとってはどれも同じこと、なら可愛いと言った方が妥当だろう。

 「ヒック・・・ヒック・・・嬉しい・・・こんな事言われたの初めて・・・」

 突如、涙をポタポタと流し始めた。おいおい、対応が困るぜ。周りの人めっちゃ見てるから。俺が変な目で見られるから!








 そして、無事食事は終わり・・・。帰り道の事なんだが、なぜか・・・俺の腕に赤裸々が抱きついてくる。理由を聞いてみると、

 「離れると危ないから」

 だそうだ。