二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.52 )
- 日時: 2012/09/14 23:46
- 名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
- 参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode
第十五話 人形劇
無心は安心院さんのお使いを終え、誰もいない暗く湿った廊下を歩いている。無心の両手からぶら下がるビニール袋がカサカサとビニール同士擦り付け合う音を出しながらユラユラと揺れている。
「はぁ〜・・・早く帰りてぇ・・・」
無心は疲れきったような表情を浮かべながら言った。それもそうだろう。自分の手持ちの金を全て使わされてしまったのだし、帰り道に不良のような男たちに絡まれるわで大変だったのだ。
「いや〜それにしてもこんなに使うのか?このスポーツ用品」
大量のスポーツ用品の入った袋をチラッと見た。きっと安心院さんのことだからこんなに量があってもきっとハードな特訓で全て使ってしまうに違いないと無心は自分に納得させた。
「それにしても今日はやけに静かだな・・・さっき俺が教室に居たまでは騒がしかったはずなんだが・・・」
無心は立ち止まり、ちょうど自分の右にある1年5組の教室の扉に顔を動かした。
「・・・」
外から聞こえる雨の音や雷の音がこの湿った空間をより一層に気持ち悪くする。無心は扉のとってに手をかけ普通に扉を開けた。
外の雷が一瞬の間全てを真っ白にさせた。案外こんな経験できるものではないが無心には興味がない。なぜならもっと貴重な物を見てしまったからである。
1年5組生徒全員がロープのような物で人形のように目を閉じた状態で吊り下げられているから。
「おお、丁寧に並べられてるなぁ、この人形たち(人たち)」
無心はぶら下げられている生徒全員を見上げて真顔で呟いた。幸い生徒全員には首にロープが巻かれたような痕は無く息もしていた。
「とりあえず降ろすか」
両手に持っているレジ袋を床に置くと、シューズを脱いで机に上り、吊るされている生徒を一人ずつ降ろし始めた。
〜1時間後〜
「あと一人か」
そう呟いて未だに意識も無くぶら下げられているツインテールの黒い髪をした可愛らしい顔立ちの女の子に近づいた。無心はそれなりに長いと周りの人からの定評がある両手をロープに伸ばした、その瞬間
ギュルッ
と効果音を鳴らしながら何かが無心の首の周りを巻きついた。
「え〜本日は曇天なり本日は曇天なり〜」
無心の目の前にぶら下げられている気絶しているあずの女の子の口が開いた。無心は首に巻きついているロープを外そうと冷静に自分の制服の中から戦闘用の三角定規を取り出した。しかし、それはどこから来たのか解からないロープが無心の手首に巻きつき、動きを封じた。
「ねぇ、あなたはどんな風に踊ってくれるのぉ?」
まるでネジで動いた人形のように顔を動かせる女の子。しかし、無心は女の子を睨んだまま何もしない。
「残念ながら俺は人形劇をしに来てないんでね、そう言うのは園児にでもやらせろよ」
無心は不敵な笑みを浮かべながら舌を出した。舌の上にはもう一つの戦闘用のミニチュア版三角定規があった。無心は歯でその定規を咥え、自分の手を拘束しているロープに向け、勢いよくそれを飛ばした。ロープは簡単に切れ、自由になった手で首に巻かれたロープを三角定規で切った。無心は首のロープが切れた瞬間、その女の子から距離を置いた。
女の子はへらへらと笑って無心を見ている。
「残念残念残念、ほーんとに残念。あなたならうまく踊ってくれると思ったのに」