二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.62 )
- 日時: 2012/09/17 11:32
- 名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
- 参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode
第十八話 私福
無心が理事長と話をしたその翌日、無心は手提げカバンを肩に乗せて登校していた。だが、無心のいつも通りの通学ではなかった。なぜなら、
「なぁなぁ無心!ここに新しく店が建つんだよ!」
騒がしく無心に語りかける八尾図がいるからだ。八尾図は店のチラシを無心の横顔に突き出すように見せる。
「ヤオ、もう少し声の音量を落とせ。この地区の皆さんに多大な迷惑とそれ相応の罰を受けるぞ」
無心はまるでそのチラシに興味がないのか、前を向いて歩いている。「おお、悪い」とニコニコと笑いながら八尾図は少し落ち着いた声で話した。
「でもさぁ、スイーツ関連の店なんだけどなぁ〜」
ピクッ、と無心は足を止めた。それに続いて八尾図も立ち止まった。 無心は「そのチラシを貸してくれ」と言い、八尾図はそれに従いチラシを渡した。そのチラシを舐めるように見た無心は、
「よし、行くぞ」
即答した。八尾図は、やったー!と万歳をして喜んだ。別に登校義務のない無心は行くことは容易い。八尾図もたまたま早く家を出ているため、そんなに時間をかけなければ大丈夫だった。
と言うことで、今例の店に無心と八尾図はいる。だが、新しく開店しただけのことはあって、店内は色んな人に埋め尽くされていた。席にはほとんどの人が座り、受付には長蛇の列。とても落ち着いて食べられそうでもなかった。ちなみに、無心と八尾図の現在位置はと言うと、
「アイテッ!あはは、こりゃキツイ!」
人の波から何とか逃れようとする八尾図。八尾図は買ったばかりのアイスを庇うように出口に向かっている。しかも、笑いながら。そして無心は、
「クソォ、スイーツが持ってかれる!」
出口らへんにいるのだがスイーツを持っている腕が人の壁により挟まり、抜け出せない状態にある。そんなこんなで10分が経過した。ようやく外の空気を吸えた無心はそっと胸を撫で下ろした。八尾図は、
「あともう少しで出口なのに〜」
さっきの無心と同じようにアイスを持っている腕を人の壁に挟まって出られない状態に陥っていた。さらに5分後。ようやく人の波から抜け出した八尾図はアイスをようやく食べることに成功した。
「あ〜やっぱりひと働きした時のアイスは最高だね!」
「親父くせぇな・・・」
無心は思った「働いたと言ってもただ人混みにいただけなのだが・・・」と。しかし、本人はニコニコと笑っている。て言うより、八尾図が笑っているのは元々だ。
「そう言えば、今何時かな〜?」
八尾図はポケットから携帯を取り出して、時間を確認した。すると、八尾図の楽しそうな笑顔からみるみる汗が吹き出てくる。
「どうした?」
無心はスイーツを頬張りながら、何気なく聞いた。
「いやぁ・・・時間が・・・」
「ああ、なるほど。遅刻したのか」
無心はスイーツを全部口の中に放り込んで、口をもぐもぐと動かして素敵な笑顔で汗ばむ八尾図を見た。
「いや・・・時間が止まってるんだ」
「ふぁにぃ!?」
無心は口の中にある物をゴクリと飲み込んで、周りを見た。すると、まるで本当に時間が止まったのかあの店内のざわめきも消えてるし、そのすぐ外にいるジャージ姿でランニングしている男の人がちょうど転ぶシーンで止まっている。
「これは・・・一体」
無心は呟くように言った。八尾図も辺りを見渡した。
「世の中って・・・こんなファンタジックだったっけ?」
八尾図は苦笑いを浮かべて言った。すると、ムシャムシャと何かを食べる音が無心の背後から聞こえる。
「ヤオ、何か聞こえないか?」
「ん・・・ああ、ほんとだ」
無心はその音が聞こえる方へと顔を動かした。そこには、車などが通る路上でツインテールの女の子が座っていた。そのツインテールの女の子は無心が買ったあの店の大量のスイーツを喰い漁っていた。無心は、まさかと思い声をかけた。
「おい、お前まさか赤無か?」
すると、ピクッと女の子の手が止まった。静かに立ち上がり、無心の方へと振り返った。やはり、昨日会った赤無だった。だが、少し雰囲気が変っていた。何か昨日の可愛い系の感じが消え、目つきが鋭くなりクールな感じになっていた。
「え〜と・・・お知り合い?」
八尾図は笑顔のまま無心に恐る恐る聞いた。
「そうだ、何か雰囲気が違うが、俺は昨日アイツに襲われた」
赤無の方へと見ながら無心は応えた。
「えーー!?マジかよ!」
八尾図は一瞬だけ無心を見て、赤無の方へと視線を向けた。女の子ははぁ〜と溜め息混じりに静かに口を開いた。
「え〜と・・・どちら様?」