二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.63 )
日時: 2012/09/18 22:08
名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode


 第十九話 二重人格

 時間が止まった空間。何もかもが動かない・・・いや、動かすことを否定されたその空間にバリボリとアイスクリームの上に乗ったビスケットを汚い食べ方をする女の子の姿があった。その向こうには無心と八尾図が呆然と立っている。

 「お前・・・赤無じゃないのか?」

 まるで鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情で無心は女の子にもう一度聞きなおした。しかし、向こうにはそれらしい反応が見当たらない。 女の子ははぁ〜と深い溜め息をつくと、鋭い目で無心を睨んだ。

 「本当に・・・誰ですか?て言うより、人間違いじゃないですか?確かに偶々通りすがった人が偶々自分に似ていると言うのはありますよ?だって世界には自分と同じ人が三人もいるもの。声をかけたくなるのも分かりますよ?だからって本当に声をかける人がありますか?いいえ、まずないでしょうね!私ならもっと・・・」

 と、女の子はグチグチと愚痴を零すような感じで無心に説教を投げかけた。確かに彼女が言ったとおり、人間違いなのかもしれない。先日にあった彼女にはこんな鋭い目つきもしてないし、こんなに人にグチグチと人に説教を垂れるような人ではなかった。

 「すみません、こいつ本当に思い込みが激しい奴なので!なっ!無心、謝ろうぜ!なっ!」

 
 八尾図は苦笑いを浮かべて、無心の顔を覗き込んだ。しかし、無心の目はあの女の子の方に疑いがあるようで、目つきがあの女の子と同じような感じになっている。

 「ちょっと試させてもらうぜ・・・」

 無心はキョロキョロと周りに何かないかと見渡すと、少し頷いて外に立ててあるパラソルの方へと向かって行った。パラソルの方に近づくと棒の方軽く握った。すると、そのパラソルがクマの人形になった。

 「無心!?どうやってそんな事したんだ?」

 八尾図は今まで無心がスキルを発動する所など見ていないため、驚きを隠せない様子だ。

 「これは俺の異常「物質変換チェンジ・ザ・マター」だ。これは、俺が触ったものであれば、それ以下の大きさの物は何でも作り上げる事が可能だ」

 無心は女の子の方をジーと見ながら説明した。八尾図は呆気に取られた様子で無心を見ている。すると、説明を終えた無心は片手に持っているクマの人形を前に突き出した。

 「「?」」

 無論、いきなりぬいぐるみを出されて困らない女子などいない。何か一言言ってくれるなら分からない気もしないではないが・・・

 「この可愛いぬいぐるみを引きちぎりまーす(棒読み)」

 そう言った瞬間、無心はぬいぐるみを持っている逆の手で首ぬいぐるみの頭を掴み、そして、思いっきり力を込めて上へと引っ張った。宙にクマのぬいぐるみの頭が華麗に舞い、そしてすぐにボトリッと地面に落下する。

 「無心?これは一体・・・」

 意味の分からない行動につい尋ねてしまう八尾図。無心は、「まぁ、見てろ」とでも言いたいのか、女の子の方へと八尾図に首で指示を出した。八尾図は?を頭に浮かべながら指示された通りに女の子の方へと見た。女の子は俯いて、ブルブルと震えてるのが肉眼でも確認できる。
 
 「さぁて、お次は両足(棒読み)」

 無心はそう言ってぬいぐるみの両足を一掴みすると今度は横に力を入れる。女の子の震えがだんだん酷くなっていく、そして・・・

 「調子に乗ってんじゃねぇぞ、クソ野朗!!」

 突如、人が変ったように罵声を浴びせる女の子。その言葉で無心はニヤリと笑い、ぬいぐるみをちぎる作業を止め、そのぬいぐるみを何処かに投げ捨てた。

 「やっと本性をだしたか・・・。赤無 色名!いや、赤無 泡名(あかなし あわな)!」

 「!!」

 無心が人差し指を赤無に突きつけ、まるで犯人を名指ししる場面のような立ち振る舞いだ。犯人役っぽいポジションにいる赤無は、歯を軋ませた。
 
 「どうして・・・私が分かったの?」

 額から汗を数的流しながら赤無は強がるようなそんな微笑を浮かべながら言った。

 「理事長から聞いたぜ。お前、二重人格だってなぁ・・・」

 
 「「!!」」

 外野にいる八尾図も驚いた。二重人格と言うのは、普段、人が嫌な事があった場合、それを忘れようと切り離す事がある。だが、稀にその切り離した記憶がどんどん成長することでもう一つの人格が生まれることがある。それを二重人格と言う。赤無もそのような状態の一人だった。
 つまり、ゲーム的に言うと、超レアボスみたいな存在だ。

 「あらら・・・もしかして、私(色名)を引きずり出すためにその人形を使ったのかしら」

 「そうだ、お前の相方は人形が大好きらしいじゃねぇか。なら、人形をバラバラにしたら黙っている訳にはいかないと俺は推理した」

 「なるほどねぇ・・・で、私をどうすんの?」

 赤無は少し落ち着いたのか、表情に余裕が戻っている。しかし、無心はお構いなく拳の方の骨をバキバキと鳴らして静かな脅迫をした。

 
 「今すぐ時間を戻させてもらう」

 「嫌よ〜。まだ私、スイーツ食べないの」

 赤無はツンとした感じで目を逸らした。無心ははぁ〜と溜め息をついて気だるそうにこう言った。

 「じゃあ、第二ラウンド行くか」

 無心は八尾図に後ろに下がってろと、命令して一人で赤無の所へと突っ込んだ。赤無は、迫り来る無心をチラッと見てこう言い放った。

 「絶対王政ワールドマイン

 すると、無心は何か巨大な物に押し返されたかのように数メートルも吹っ飛ばされた。

 「これは私の命令よ。『私の半径2メートル以内に入らないで』」