二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.65 )
- 日時: 2012/09/20 20:43
- 名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
- 参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode
第二十話 決着と始まり
「クソッ・・・」
地面に情けなく転がる無心は赤無を睨めつけて、立ち上がった。八尾図は飛ばされた無心とそこで悠然と立っている赤無を訳も分からず交互に見ている。
「まだ続ける気?アイス食べ終わったら時間戻してあげるからそこで待ってなさいよ。何も永遠に時間が止まる訳じゃあるまいし」
赤無は鬱陶しそうに無心をチラッと見て、またアイスを頬張る。しか無心で譲れない物があった。それは、プライド。彼は先日、赤無にボロクソとまではいかないが、手も足も出せなかった事を気にしていた。
「いいや、こっちはこっちのタイミングで学校に行きたいんだ。お前が時間を止めたらこっちの体内時計が狂う」
一向に引き下がらない無心を見て、はぁ〜と重い溜め息をつく赤無。 こんな主人公、今までにいただろうか?いいや、あえて言おう。それはないと。赤無は「分かった分かった」と言い、残ったアイスをごみを捨てるようにその場に捨てた。無心は早速臨戦態勢に入り、赤無はただ突っ立ってるだけだった。まるで、主人公と敵役が入れ替わったような感じだ。
「でも、無心君(だっけ?)。あなたは私のスキル「絶対王政」によって完全に攻撃を防がれてる。あなたに攻撃手段なんてあるのかしら」
赤無は気だるそうに無心を眺めた。ゲームで言うならほぼ無理ゲーのこの闘いに、無心は落ち着いた表情でいる。
そして、向かいあっている二人の一人が動き出した。
無心だ。
無心は拳を構えながら、赤無の方へと一直線に向かって行っている。 予想通り。とでも言いたいのか赤無は余裕の表情で、何の行動も起こさない。無心が着々と赤無の元へと近づいてくる。
「ふん、何の策もなしに近づいてくるなんて、あなた馬鹿なの?」
「残念、策ならあるぜ。俺にそんな壁を出しちまったらなぁ」
赤無にとってはその言葉の意味が分からなかった。だが、彼女は直感した。「彼の前でスキルを使ってはいけない」と。気が付いた時には、すぐそこには無心がもう拳を突き出そうとしていた。すぐさまに自分のスキルを解き、無心から距離をとろうと赤無は足を後ろに踏み出した。 が、間に合わず、無心の硬い拳をもろに受けてしまった。彼女の身体は空中で綺麗な弧を描いて舞った。
ドシャリ
と赤無の身体は地面に落下した。彼女のその可愛らしい顔の頬が、赤く腫れ上がり、見るに耐えない状態になっている。
「スキルを解いて正解だったよ、赤無泡名。もしも、このままお前がスキルを解かなかったらダメージとスキルの封印が一気に来て、しばらくの間、まともに動けなくなるところだったからな」
無心はそこに倒れている赤無に語りかけるのだが、赤無は気を失っているようで返事が返ってこない。すると、ドタドタとなにやら騒がしい音がした。その音は次第に無心へと近づいてくる。
「むしーーーん!!お前、何やってんだよーーーー!!」
血相を変えた八尾図がすごい勢いで無心の方へと走ってくる。そんな様子を見た無心は戸惑いと驚きが混ざったような複雑の表情をした。そして、八尾図が無心の方へと到着すると・・・
「女の子を殴り飛ばすとかまず有り得ないだろ!?何やってんだ!!」
八尾図は人を大切にする、親交を深める、などと言った平和主義者故、普段温厚なのにこの行為を自分の目の前で行われると本気でキレる。無心もこんなに八尾図がご乱心になるとは思いもよらず、つい「はい、はい、すみませんでした」とペコペコと頭を下げてしまう。
そして時間が戻り、無心と八尾図は無事に学校へ登校した。ちなみに赤無はと言うと、倒れたまま置いて行くというのもなんなので、世話焼きな八尾図が背負って行った。
1年13組教室内にて、無心は机にもたれ掛かって朝の戦闘の疲れを取るようにだらけていた。そこへ、
「よぉ、青春してるかい綿柄君」
いつの間にか無心の机の目の前に安心院さんが立っていた。目の前に安心院さんが立っているのだが、無心は安心院さんの方を見ると言う行動すら起こさなかった。
「いい加減その呼び方やめてください、安心院さん。それは、昔の俺が端末として行動してた時の名前です。今の俺は、ただの綿柄 無心です」
「で、何の用ですか?」と無心はそう付け足した。安心院さんは机に座り、目を閉じて、微笑んで言った。
「ぼくを付け狙っている者がいるからそいつを潰して欲しいんだ」
「世路神 骸なら俺が改心させましたけど」
何のやる気もない声にがっかりしているのか、それとも目標が達成されていないのにがっかりしているのか・・・安心院さんは溜め息をついた。
「ぼくは最初に言ったはずだ。ぼくを狙う妙な『連中』がいるって・・・確かに、世路神君はぼくを狙っていたけどあれはあくまで君の腕試しだ。ここからが本題」
安心院さんのその言葉で見向きもしなかった無心の顔が安心院さんの方へと向いた。
「0組って言うクラスがいるだろ?その人達と・・・仲良くしてきてほしいんだ・・・」
安心院さんは閉じていた目を開け、不気味な笑みを浮かべている。まるでその先の未来を予想できているのかのように・・・静かに笑っている。