二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.74 )
日時: 2012/09/23 23:15
名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode



 第二十二話 招かれざる客

 保健室、体調不良者や怪我人を手当てする場の事をそう言う。普通の学校では保健室で怪我などと言った事態はそんなにあることではない。あったとしても、簡単な応急手当で事足りる。が、この箱庭学園では簡単な応急手当では事足りなさそうだ。身体を癒すために作られた保険室内は爆発の影響で純白に近かった壁と天井がすすでほとんどが汚されている。八尾図 処世もここの爆発に巻き込まれた中の一人だ。八尾図は意識のない八橋 谷津派を壁にもたれるように寝かせ、静かに立ち上り、ある方向を見た。その視線の先には手榴弾おピンを抜こうとする爆弾魔らしき人物が立っている。

 「なぁ君、危ないからそれを捨てるんだ」

 八尾図は精一杯に溢れ出す人怒りを抑えて、今にも手榴弾を爆発させようとする男に笑顔で語りかけた。人を大切にする八尾図にとってはこの爆発テロまがいな行為は許せなかったが、いかにも無理があると思われる説得をする八尾図。それを見た男は、


 「分かった、捨てるよ」

 無表情であっさりそう言うと、ピンを抜こうとした手を止め、そのまま八尾図の方へと軽く手榴弾を投げた。八尾図は自分の方へと飛んでくる手榴弾を取ろうと両手を出して取ろうとする。その時、

 ピキン
 

 「!?」


 と、何かの栓が抜けた音がした。その音の発信源は今八尾図へと飛んでくる手榴弾だ。八尾図もそれを確認して驚愕の表情を見せる。

 (何!!手榴弾のピンがなぜ!!)

 ふと爆弾魔の方を見ると、笑いながら手に何かをぶら下げていた。八尾図はそれを目を細めてよーく確認すると、

 (ピンの輪っかにワイヤー!!)

 男は八尾図に手榴弾を投げた際に、事前にピンに引っ掛けたワイヤーを思いっきり引いて栓を抜いたと言う事だ。手榴弾はピンが抜かれてから数秒で爆発する。それぐらいのことは、平和主義者である八尾図でも理解できた。

 (どうする、これはマズイ!本当にマズイ!いやいや、冷静になれ!今、こうしている間にもあの爆薬の塊はどんどん迫ってくる。どうする俺、この危機的状況を何とか阻止する方法は・・・)


 「さぁ、ジ・エンドだ!」

 男は狂ったような笑顔で天を仰いで言った。それと同時に、男の放った手榴弾が八尾図の頭のてっぺんに到達して、そして急降下するところだった。八尾図は覚悟を決めた表情ですぅ〜と息を吸うと、軽くジャンプした。そして、宙に浮いている八尾図の身体は後ろへと回転し、比例して八尾図の足が手榴弾へとぶつかった。足にぶつかった手榴弾は勢いよく八尾図の背後にある窓を突き破って、空中を少し飛んだ辺りでドォンと激しい爆発音を出しながら消えた。八尾図は着地に失敗し胴体から床へと落下する。簡単に言えば、八尾図は真上に飛んでいる手榴弾をオーバーヘッドキックで飛ばして助かったと言う事だ。


 「昨日のサッカーの生中継を観てて良かったぁ〜」

 地面に這いくばりながら安堵の声を漏らす。その光景を見た男はつまらないギャグを観たお客さんみたいな無表情でその光景を見ていた。

 「お見事、貴殿の行動には感服したよ」

 パチパチと拍手をして、八尾図の行動を称賛した。爆弾の危機を乗り越えた彼はそんな事されてもちっとも嬉しくない。むしろ、怒りが湧いてくるだけだ。八尾図は黙って立ち上がる。

 「是非、名乗らせてくれないか?ありがとう。僕は2年0組 絹氏 公明(きぬじ こうめい)だ。君の名前は?おっ、待ってくれよ?もう少しで貴殿の名前をd「1年2組 八尾図 処世だよ」」

 怒りを少しでも発散するかのように一人で話し続ける爆弾魔にピリオドを付ける処世。最早、絹氏が0組だと言う事にも突っ込まない。そんな様子の八尾図を見た絹氏はやれやれと言いたそうな表情で左右に顔を振った。

 「お前の目的は何だ。一体何の為にここを襲う!」

 八尾図は若干、怒りが混じりながら強い口調で言った。絹氏はふっ、と1+1は?と小学1年生レベルの問題を高校生に聞く並に簡単な質問だと言いたい位の表情を見せると、

 「僕の目的はそこに寝ている女。保健室を襲ったのは成り行きさ」

 絹氏は八尾図を見ながらベッドに横たわる赤無を指差して言った。

 「一体何の為にその子を狙うんだ!」

 「何の為?決まってるじゃないか・・・殺す為」

 「!!」

 絹氏は当然の事のように、寧ろ当然の事過ぎて呆れたような感じで言う。そんな様子を見せる絹氏に対して、八尾図は驚愕と怒りが同時に湧いてきた。

 (こいつ・・・何で平気でそんな事言えるんだ!人を殺すなんて・・・人として最低最悪の行為じゃないか!)


 八尾図はギシッと歯を軋ませ、



 (・・・させない。・・・絶対にさせない。この子を殺すなんて事・・・絶対にさせない!!)

 八尾図は両手の拳をギュッと強く握り、真剣な表情で絹氏を睨めつけた。だが、絹氏は全然表情を変えない。

 「お前のやっていることには一切興味ないがな・・・人を傷つける行為は俺は絶対に許さない!!だから俺はお前を力ずくでも止めてやる!」

 八尾図は握り締めた拳を構え、絹氏の所へと突っ込んでいった。