二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.83 )
日時: 2012/09/27 00:34
名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode



 第二十五話 覚醒

 八尾図の心の中。言わば真っ白な空間で、八尾図はなぜかそこにいる赤無と無能の絹氏 公明を倒すべく色々な作戦を練っている。そして、赤無が口に出した一言。

 「私のスキルをアンタが使うのよ」

 その意味が分からないのか、それとも分かっているのか一瞬表情が笑ったまま固まる八尾図。それを見かねた赤無は溜め息混じりに、

 「だーかーらー、私のスキルをアンタが使うのよ」

 気だるそうに赤無は言った。そこでようやくぎこちなくだが表情が動いた八尾図。さすがにこのまま返事を返さないまま黙まったら赤無に何をされるか分からない。八尾図だって普通の人間だ。そうおいおいと人を信じられない。とは言っても、1%位。

 「でもさぁ、お前が俺にスキルを渡して何の得があんだよ」

 まだ赤無へ疑いのある八尾図はつい聞いてみた。その時、赤無は、はぁ?と言いたげな表情で口を開けた。

 「アンタ、全く状況が判断できてないのね!」

 「!!」

 いつまで経っても状況を理解する気配のない八尾図に対し痺れを切らしたのか、赤無は、自分の顔を八尾図の顔面の方へとグイッと近寄よった。八尾図はいきなりの行動を起こす赤無に驚いて、後ろへと下がった。

 「良い?アンタと色名(私)は今にも殺されかけてる状態なのよ!?得もへったくれもないわ!」


 そう言いながら赤無はグイグイと八尾図に近づいていく。確かに今、八尾図は焼かれそうにもなっている。赤無だって八尾図が殺された後に爆死させられるかもしれない。彼女にも余裕が無い。八尾図はない頭で必死に考えた。その結果、


 「分かった、お前のスキル・・・ありがたく使わせてもらう」


 やっと八尾図は頷いた。その返事を聞いた赤無は顔を八尾図に近づけるのをやめた。ふぅ〜と八尾図から溜め息が漏れた。

 「でも、どうやってお前のスキルを使うんだ?能力者って普通の人間に能力を与えることが出来るのかよ」

 「いいえ、できる人もたまにいるけど。基本的にはいないわ」

 その言葉を聞いたとき、八尾図は「え!?」と声を出してしまった。それもそうだ。使わせるならあえて渡す方法を用意しとくものが筋。まるで、貰おうとした物を家に忘れてきた並の喪失感だ。だが、赤無にはそれは想定の範囲内だった。

 「大丈夫よ、私にはアンタにスキルを使わせてあげることができる」

 「どういうことだ?」


 八尾図は眉をひそめた。


 「だって・・・私そのものがスキルなんだから」


 「!?」

 八尾図の目が見開かれた。思いがけもしない赤無の言葉により、驚きを隠せない八尾図。そんな表情をしている八尾図を無視し、赤無は話を続けた。

 「私が生まれた理由は、赤無 色名の中にある無邪気で容赦の無い行為を抑えるため。彼女自身、自分が人を傷つけるかもしれないという恐怖心でいっぱいなのよ。だから、私が生まれたの。」

 真剣な表情で赤無はそう言った。八尾図も生唾を飲んでその話を聞いている。

 「気が付けばあの子自身にスキルが宿っていたわ。なぜか分からないけど、私は私が生まれた時からスキルが使えた。・・・まぁ、私そのもがスキルだったからなんだけどね」


 「・・・赤無」


 八尾図がそう呟くように言うと、「あっ、話が脱線したわね!ごめんなさい」と赤無はそう付け加えた。


 「とにかく私がここに存在している時点で、もうあなたはスキルが使えるわけ!良い?」

 「お、おう!」

 あどけない返事をする八尾図に対して、赤無は少々不安になりながらも赤無は次のステップに移動する。

 「私のスキルを教えるわよ。「絶対王政ワールドマイン」。このスキルの効果は自分が命令したことが現実となる。それが私のスキル」


 「それってチー「うるさい!つべこべ言わずに黙って聞いてなさい!」」

 
 「・・・はい」

 大体説明を終えた赤無は八尾図に「何か質問ある?」と聞く。すると、八尾図が手をビーンと伸ばした。

 「はい、何?」

 「このスキルを使っていてデメリットとかあるの?」


 一応、八尾図は確認のために聞いてみる。確かに今までに八尾図が遭遇した人物にはそんなデメリットなどを含んだ能力者(無心と赤無)は見かけなかった。

 「あるわよ、無能者全員に」

 まさかの衝撃発言パート2。八尾図は若干心が折れそうにもなりながらそれを受け止めた。「あと、他に質問ある?」と打ちひしがれている八尾図を見ながら何気ない表情で赤無は言う。


 「ないよ、泡名さん。行けば良いんだろ?行けば!」













  そして、今に至る。絹氏は手の裾から手榴弾を取り出して不気味に笑う。そんな胸糞悪い絹氏の笑顔を睨みつけながら八尾図は静かに口を開いた。

 「何で笑ってるんだ?」

 「面白いからだよ。お前のような普通がスキルを持つなんて・・・それはもう、いひひひっ!!」

 不気味。そう思えるこの男は口を押さえて・・・いや爆弾を押さえて笑っている。八尾図はそんな様子を興味のない目で見ると、


 「『拘束しろ』」

 
 「!?」

 その時、静かに発せられた言葉が現実のものとなり、拘束器具のようなものが床から絹氏の背後に生えて、一瞬にして彼の身体を捕まえた。絹氏の手に持っている手榴弾は背後からの思ってもいない拘束により、
地面に転がっていた。
 
 「これぞ「絶対服従ビクトリーマスター」!!」

 八尾図はガッツポーズを決めながら、決め台詞染みた言葉を言い放った。

 (人のスキル名を勝手に改ざんするなーーー!!)

 八尾図の心の中で誰かが叫んだような気がした。