二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: めだかボックス 知られざる悪平等 ( No.97 )
- 日時: 2012/10/02 00:11
- 名前: シャオン (ID: r4m62a8i)
- 参照: http://.kakiko.cc/novhttp://wwwel/novel3/index.cgi?mode
第三十話 早くも決着!?
無心はふぅ〜と溜め息を吐くと、ゆっくりと立ち上がった。さっき燈蔵がぶち壊したアスファルトの粉が宙に舞っており、それを思わず吸い込んでしまった無心はゴホッ、ゴホッ、と咳をした。気づくと、無心の服はアスファルトのあの粉でやや白く染め上げられている。無心は黙って白く染められた制服を丁寧に払っていった。
「あ〜ちくしょ・・・全然取れねぇなぁ・・・」
いくら払っても落ちない汚れについ呟いてしまう。無心ははぁ〜と今度は重い溜め息を吐いて、保健室の方へと足を進めようとした。
その時、
「む〜・・・し〜・・・ん〜・・・」
自分の背後で人の声とは思えない声が聞こえた。無心はそれで立ち止まる。その音の発信源はアスファルトの中に埋まっている女のものだった。無心は目線を前方の道から自分の右手の傷をずらして、
「言っとくけど助けないぞ・・・。お前の顔見たらまたあの記憶を思い出しそうで恐いからなぁ・・・」
無心は右手の傷を少しいじりながら答えた。そして、シーンと間が空いた。どうやら燈蔵には何も答えられないようだと判断した無心は再び足を進めた。
ドッガァァァァァン
「むーーーーーしーーーーーーんーーーーー!!!」
アスファルトの中から大きな爆発音に似た効果音を出しながら、まるで風邪を引いてしまった患者さんのような女の声が聞こえてくる。無心は静かに振り向いて左手の中指を後ろに引いた状態で燈蔵の額の前に突き出した。
「喜神化」
無心は後ろに引かれた指を前へと弾くとその指が燈蔵の額にコンッと当たった。その瞬間、燈蔵の体は消えた。すると、ドォォォンと音が後に続くように鳴った。音が鳴ったところは、無心の向いている方向を一直線に進んだ壁からしたものだった。そして、その壁には張り付けられた状態の燈蔵がいた。
「グットラックだぜ・・・燈蔵」
無心はそう言うと、保健室の方へと足を進めた。
壁に張り付けられた燈蔵。そこにある人の影があった。
「やぁ、こっ酷くやられたねぇ・・・燈蔵ちゃん」
天井からぶら下がりながら俯いて表情の見えない彼女の顔を覗き込む和服姿の女の姿。そう、安心院さんである。
「何楽しそうに見てんだよ安心院 なじみ」
意識がないと思われていた燈蔵の口が静かに動いた。安心院さんはふっと笑ってこう答える。
「ぼくは昔からこうなんだよ。それにぼくのことは親しみを込めて安心院さんと呼びなさい」
安心院さんは何を考えているのか、無心の敵でも妹でもある彼女に気軽に話しかけている。この奇妙な光景を無心に見せたらさぞ驚くに違いないだろう。
「で、何の用だよ・・・安心院さん」
燈蔵は動けないのかそれとも動かせれないのか、全然壁から動く気配がない。だが、燈蔵の口は簡単に動く。
「燈蔵ちゃん・・・君、本気じゃなかったろ」
「!?」
燈蔵の俯いていた顔が一気に安心院さんの方へと向いた。安心院さんは怪しげな笑みを浮かべている。
「どういう意味だ!」
「そのままの意味さ・・・」
安心院さんは一旦言葉を区切ると、天井から一回転して地面に着地して、
「兄貴に対して情でも湧いた?それともただの気まぐれ?そんなくだらねぇ事考える前にまず行動することを覚えようぜ」
呆れたような表情を浮かばせながら手を色々な方向に動かしながら話している。そんな様子を燈蔵は歯を軋ませながら見てこう言った。
「私は何も考えずやった!本気でやったんだ!でも、なんだあのスキル!3年前にはあんなのなかったのに!」
燈蔵が叫ぶようにそう言うと、ハァハァと息を荒げていた。その時、安心院さんは目を細めて不適に笑った。
「それはぼくにも分からない。個人情報を覗き込むつもりはないから・・・。だけど、君はとにかく兄貴に勝ちたいんだな?」
何の迷いも無く燈蔵はうん、と頷いた。その時、安心院さんはニヤリと何か計画通りと言いたそうな笑いを浮かべると、
「じゃあ、ぼくが一肌脱いでこのスキルを君に渡すよ」
その安心院さんの微笑みの裏には何か深い闇があったような気がした。