二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.14 )
- 日時: 2012/08/08 17:37
- 名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: vf.KGARd)
File03 愛莉と殺人事件
「殺害されたのはフリーターの山本優子さん。首を鋭い刃物で切られ死亡。死後硬直の具合からすると恐らく昨日の7時から9時前後に殺害されたと思われます。第一発見者は優子さんとは親しい交友関係にあった番田美穂さん」
高木刑事は警察手帳を見てスラスラと喋った。
青い制服を着た鑑識課の人達があちこちにいて黙々と仕事をこなしていた。
遺体はまだ回収されてはおらず、番田美穂はうつ伏せに倒れていて首元から大量の血が流れていた。
「番田さん、あなたはどういう用件で彼女の元へ?」
ようやく落ち着いたショートカットの女性、番田美穂は目暮警部の問いに答えた。
「あ、はい……。優子とは昨日メールで今日優子の家でお茶する予定をしていたので、約束の時間に来ただけです……」
「じゃあそのメールを見せてもらえませんか?」
「ま、まさか、私を疑ってるんですか!?親友を殺すなんて私には出来っこありません!」
「あぁ、いえ、一応念のためですので……」
コナンはそのやり取りと見て、遺体に近づいた。
うつ伏せに倒れているが、首は右側に傾いていた。
「あー、コナン君!あんまり傍に近寄っちゃ駄目だよ……」
高木刑事はコナンの元に行き、現場から出るように促した。
「あ、ごめんなさい。ねえ、高木刑事、この遺体、おかしくなーい?」
「え、どこが?」
キョトンとする高木刑事にコナンは遺体を指差した。
「だって、普通倒れたら手はパーの形になるはずじゃない?でもこの両手は左手の親指が中に折れていて、右手の小指と親指が微妙だけど中に折れているし。もしかして、ダイイングメッセージだったりしてー!」
「う〜む、確かに……。でもね、コナン君、たまたまそうなったってこともよくあるよ。手をグーにして死んでしまった人もいるし」
「そうかなぁ」
コナンは俯いて考え始めた。
この指の形どこかで見たことあるような気がしてならなかった。
「随分と色んな国の置物を置いてるね」
突然愛莉が警察たちに話しかけた。
コナンも部屋に目をやると、確かに、エッフェル塔の模型がおいてあったりどこかの国の南国風な麦藁帽子が飾ってあったり、海外でとった山本優子の写真も飾られてあり、他にも数々の海外の置物が置いてあった。
すると番田がそのわけを説明してくれた。
「あ、優子はアメリカ育ちで親の仕事で沢山海外をあちこちいってて、日本に落ち着いてからも余裕さえあれば海外によく言ってたから……。英語もペラペラなのよ」
「へー!そうなのー」
愛莉は子供っぽく笑った。
子供っぽく?コナンはふと疑問に思った。
子供なのにっぽくっていうのは可笑しいんじゃないか?
その時、壁にかざってある写真の中でひときわ目立つ写真があった。
中央に山本優子が写っていて、10人程の老若男女が一緒になって写っている写真だった。
これは目暮警部も興味を惹かれたらしく、番田に訪ねた。
「あぁ、これは北海道にある手話教室の写真ですよ。優子は英語の次に手話がうまくて……。優子の母親が日本に戻ってくる何ヶ月か前に耳に病気もっちゃって。それで優子は一生懸命手話を覚えたって言ってました」
「そうですか……。あ、優子さんは他に恨みを買われる様な人とか知っていますか?」
「え、いえ……。でも恨みかどうかはわかりませんが、ひょっとしたらなんですけど……。優子は二ヶ月ぐらい前に恋人をふったんです。その恋人は私も知ってる人で、会う度に優子への未練をこぼしていたので」
「名前と電話番号を教えていただけますか?」
「はい、前田健斗です。電話番号は○×……」
高木刑事は名前と電話番号をメモしたあと、すぐに了解をとり電話をしようとした。
その時、玄関が騒がしくなった。
「優子が死んだって本当ですか!警部さん!お願いです、通してください!」
「立ち入り禁止ですので!下がってください!」
玄関に顔立ちのいい男性が警察官と少々モメていた。
「あなたは誰ですか?」
「あぁ、警部さんですね!私は隣に住んでる福村真人といいます。あの、優子……じゃなくて山本さんが死んだって本当ですか!」
「ふ、福村君……!!」
「ば、番田じゃないか、どうして君が?」
「失礼ですが、福村さんと山本さんはどういう関係ですかな?」
「あ……と、友達です。部屋が隣同士で歳も同じなので」
「なるほど……。福村さんも入ってきてもらいましょうか」
目暮警部は福村を中にいれた。
コナンも愛莉も一緒になって部屋の中に入る。
「振られた悲しみから怒り、憎しみに変化して前田健斗って人が殺したのかな」
愛莉は自然にコナンに言った。
「まぁそういう線も考えられるが、まだ全体を把握してないからなんともって、え?」
コナンは呆然と愛莉を見つめた。
愛莉はさっきまでのコナンと同じようにアゴに手をあててブツブツと喋っていた。
その横顔、コナンから見てどうしても一年生の顔には見えなかった。
コナンにある考えがよぎる。
まさか、と思いつつも勝手に頭が動き、この推測が本当だとしたら全ての辻褄が合うと、コナンは頷いた。
続く