二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.17 )
日時: 2012/08/09 11:11
名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: vf.KGARd)

File04 愛莉と殺人事件 後編


「警部、凶器が見つからないので、恐らく犯人が持ち去ったと考えられます」

コナンと面識のある鑑識課のトメは目暮警部にそう言った。

「そうか、ご苦労」

目暮警部は腕を組んで考え込んだ。
その時、また玄関で騒がしくなった。

「下がってください!」
「こ、ここ、私の友達の部屋なんです!入るぐらいいいじゃないですか!」

小さめのリュックを背負った小柄な男性が警察官といがみ合っていた。
番田と福村は玄関のほうに目をやって、思わずハモッた。

「ま、前田君!」

コナンはすかさず前田健斗を見た。
被害者にふられた元恋人は既に中にいる番田と福村を見て驚いたようだった。

「2人とも!どうしてここに……」
「あなたが、前田健斗さんですね?」

高木刑事は前田に歩み寄り確認をとる。
前田が頷くのを見て、高木刑事は中に入れた。
さっきの福村と同じく前田も変わり果てた山本の姿を見て愕然としていた。

「あぁ、どうして……誰が、こんな目に……」

前田は悔しそうに呟いた。

「昨夜、7時から9時頃に背後から左側に首を切って殺害されました。なので……あなたがた三人に一応聞いておきますが、この7時から9時の間に何をされていましたか?」

目暮警部の問いかけに一番最初に答えたのは番田だった。

「私は7時から8時までずっと家にいました。ただ一人暮らしなもんですから、証明する人はいません。8時から前田君と会う予定なので、米花公園に行きました。もちろん、米花公園に行くまで証明する人は……恐らくいないと思います」
「なるほど。前田さんは?」
「私も7時から8時はずっと家で仕事をしていました。8時から、彼女の言うように会う約束をしていたので米花公園に向かいました。その間ずっと一人だったのでアリバイを証明する人はいませんよ」
「そうですか……。ちなみにお仕事は何をされてるんですか?」
「え、あ、ちょっと待っててください」

前田はリュックを床におろしてチャックの開く音がした。
その瞬間、短くギャッという悲鳴が漏れた。

「な、何なんだ、これは……!」

前田はところどころ赤くそまった何かを白い布でくるんだ物を取り出した。
この状況からして、全員この赤くそまった物がなんなのかすぐに予想がついた。

「血!?」

高木刑事が布をとってみると、そこには赤黒く染まったカッターが出てきた。
血は既に固まっていて、触ればポロポロと血が剥がれ落ちた。

「これは何ですかな?前田さん」

すぐに目暮警部の目つきが変わり、探るような目つきで前田を睨む。
前田はすっかり腰をぬかして、立てないでいた。

「し、知りません!た、ただ、このカッターは僕のですけど……」
「まさか、前田君、ふられた恨みで優子を……?」
「違う!俺はやってないって!」
「この人の言う事本当だと思うよ」

突然コナンは目暮警部の傍に来てそう言い放った。

「だがね、コナン君、現に彼のリュックからこんな怪しいものが出てるんだよ。それに殺害された遺体は鋭利な刃物で切られたんだ。どう考えても……」
「遺体は左側に傷があるでしょ?それって右利きの人がやったってことだよね?でも、前田さんは左利きだもん」
「え!どうしてわかったの、ぼうや」
「だって、前田さんの左の中指の第一関節あたりにポコッとまめがあるでしょ?これってすごくペンを使い込んでるってことだよね?多分お仕事ってイラストレーターとか漫画家とか描くお仕事なんじゃないのかなって」
「本当なんですか?」
「え、ええ。この子の言うとおり、左利きです。仕事のほうは最近やっと漫画家としてデビューして……。本当は今日編集部に行く予定だったんです。あ、これが原画です」

前田はファイルに納められた分厚い紙を差し出した。
ざっと見て20枚以上あってしっかりとペン入れやトーンが張ってあった。

「でも何で血まみれのカッターが……」
「前田さんは犯人じゃないよ。ずっとリュックの中に凶器をいれとくお馬鹿さん、僕見たこと無いもん」
「そうか……。いやあ、前田さんすいませんでした」
「い、いえ」
「にしても、君すごいね!ホームズみたい!」

番田はコナンの頭を撫でた。

「え、ホームズ知ってるの?」
「ええ!大ファンなの!ホームズの影響もあって刑事ドラマとか犯罪学を学んでいたほど……」
「そうなんだ〜」

コナンはこの番田の発言に違和感を覚えた。
ホームズの大ファンである番田美穂。不自然な形に曲がった被害者の両手。前田のリュックの中に入っていた血まみれのカッター。
その時、コナンの中で事件の全貌が見えてニヤリとした。
そうか、そういうことだったのか!いや、しかし、証拠がない……。

「こうなれば署の方で事情聴取ですかね」

高木刑事は目暮警部にそう耳打ちして頷いた。

「じゃあ皆さん、一度署のほうに事情聴取を」
「わかりました。そういえば、番田」

前田は番田のほうに向いて話しかけた。

「昨日言ってたピアスのキャッチャー見つかった?」
「あ、あれね!見つかったよ」
「良かったな」


文字数オーバーになりそうなんできります。