二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.27 )
- 日時: 2012/08/09 18:47
- 名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: vf.KGARd)
File05 本名
「愛莉ちゃん、名推理だったよ!」
歩美は興奮した様子で喋った。
「まさに平成のホームズです!!」
「コナンも顔負けだな」
光彦も興奮気味で言って、元太はニヤリとした笑みを浮かべコナンを横目で見た。
「あ、あのな〜……」
呆れ顔でコナンはうな垂れた。
その時哀がスッとコナンの横に並んだ。
「ね、彼女おかしくない?」
「ああ……。あんなの小学一年生の口調じゃない」
愛莉は歩美達とニコニコしながら話し合っていた。
子供と一緒にいる時は特に違和感も何もないが……。
「まさか、奴等の手先か……?」
コナンがそう呟いた。すると哀は誰かに心臓を握られたかのような感覚に襲われた。
黒くねっとりして、こびりついてなかなか離れない……黒の組織そのものに握らされたような気分に陥った。
「私のせいよ……私がここにいるから……」
「まあどちらにしたって、安藤愛莉って名前……本名じゃないはずだぜ」
「え、どうして……?」
「ま、後で本人に聞いてみるのがいいんじゃないか?」
「そ、そんな危険なことしていいの!?」
「もしアイツが奴等の手先なら、恐らく俺達の招待に気づいてるはずだ。最も、気づいてたら空気のごとく迫ってきて何もかも殺されて証拠は全て消え去っていくのが奴等の手口だが……。そんなことをせず面倒な道を選ぶということは訳ありかなんかだろうぜ。真正面から聞いたほうが俺にしてもあいつ等にしても一番楽な道だと思う」
その時、コナンの腕が掴まれた。
振り向くと怯えきった哀がいた。
「し、心配すんなって。お前にはならべく危害加えないようにすっからよ」
腕を握る強さが徐々に強くなる。
「は、灰原……?」
その瞬間、哀はコナンを腕を放した。
そしていつものような呆れ顔に近い顔をした。
「私がやめなさいと言った所で、聞かないでしょ?」
哀はコナンの横をすり抜けて歩いていった。
「は、はは……」
「でも」
哀はコナンのほうに顔を向けた。
真剣そのものだった。
「馬鹿な真似……しないでよね」
もちろん、コナンはその言葉の意味を全部理解していなかったが頷いた。
そして強気な顔で
「しねーよ」
と答えた。
哀はこの顔に少し安心したのか顔をほころばせた。
「コナンくーん!哀ちゃーん!早くー!」
「何ゆっくり歩いてんだよー!」
「置いていっちゃいますよー!」
「あ、わりぃわりぃ!」
コナンは気が付けば数メートル先にいる愛莉達の元に走っていった。
哀は走りはしなかったが、早足で歩き始めた。
ほんと、鈍感なんだから……。
哀は走っていく工藤新一の背中を寂しげに見つめた。
「ほお!安藤愛莉ちゃんじゃな?ワシは阿笠博じゃ!これでも天才発明家なんじゃぞ〜」
博士は得意げに鼻の下にのびた髭を触りながらいかにも偉そうに言った。
愛莉はクスクス笑いながらよろしく、と言った。
「博士!新しいゲームができたんだろ?早くやらせてくれよ!」
「私もやりたーい!」
「僕もですー!」
「よーし、じゃあ来なさい!」
博士は得意げにテレビの前に案内して、子供達ははしゃいでついていった。
「愛莉ちゃん、何か飲む?」
コナンは愛莉に気を使いそう言った。
「うん、頼むわ」
笑顔で頷いて、コナンは冷蔵庫から麦茶を取り出してコップに注いで差し出した。
「あー美味しい」
一気に飲み干して、愛莉は楽しそうにゲームをやっている子供達を眺めてニヤニヤとしていた。
コナンは哀の様子から愛莉は手先ではないと推測した。
もし奴等の手先なら哀は組織の臭いを嗅ぎ付け、冷や汗が尋常じゃないほど出てくる。
「ねえ、愛莉ちゃん」
「なーに?」
呑気に返事をした。
「愛莉ちゃんて、本名?」
「え」
呆気にとられて愛莉はコナンを見つめた。
「何でそう思うの?」
しばらく沈黙の後、愛莉は余裕を少し出して再び目線は子供達に向いた。
コナンもテレビゲームに熱中してる友達を見た。
「まあ、まずあの推理ぶり。子供じゃないよね」
「他にもあるんでしょ?」
「あとは、安藤愛莉って名前。それってホームズが一目置く女性、アイリーン・アドラーの名前からいじくったんでしょ?」
「ふふ。わかってくれるじゃない」
「もしかして、あんたは幼児化した姿……?」
愛莉はランドセルを置いてある場所にいって何かを取り出した。
黄色のポーチを取り出して、その中から薬箱のようなものを取り出した。
あけると、赤と白の色が付いたカプセルがあった。
哀はそれを見た瞬間目つきが変わり、そのカプセルを手に撮りまじまじと見つめた。
「APTX4869……」
「ご明察」
「君は……?」
愛莉はクルッと振り向いて満面の笑みを浮かべた。
「安藤愛莉ことアリス・グウェイザーです!」