二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.61 )
日時: 2012/08/28 19:04
名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: /dOKRqFx)

File11 送ってくれた人


「と、まあ死んだと思ったら、小さくなったって訳よ」

自分の武勇伝を語ったかのように、最後はこうして締めくくられた。
気が付けば、かなりの時間が経っていた事に愛莉は気づいた。
窓を見れば、空は少し赤みがかかっていた。

「どうやって逃げたのよ。今の今までどうしてたの?」
「あぁ、小さくなったあと、あのまま土手を下りて行ったら道路があって。そこを勘で米花町まで歩いて行ったら、ある車が止まってくれて。親切な男の人が家まで送ってくれた。んで、大家さんには……訳を話そうにも信じてくれないって思ってたから、どうやって言おうか思ったんだけど、やっぱりいい人だね!『何も言わなくていいよ、どうせいえない訳でもあるんでしょう?』って言ってくれて……。まあ、あのアリスだとは気づいてないみたいだけど」

哀の問いに、愛莉は宙に記憶の映像を見ているかのように答えた。

「あ、そうそう」

愛莉はポケットの中でゴソゴソと手を動かして、取り出した。

「はい、あの時たまたま取って来たメモリカード」
「何!?」

コナンが素早く反応し、メモリカードを渡されしげしげと眺めた。
これに何かの組織の情報が……!!コナンはいてもたってもいられない気持ちになった。

「灰原、は、早くこのメモリカードをPCに!」
「えー、コナン君達何を見るのー?」

いつの間にか歩美、光彦、元太がコナンの後ろに立ってメモリカードを見ていた。

「もしかして、別のゲームか!?」
「もうゲームはいいですよ。ずっとやってましたから……」
「でもコナン君達はやってないよ?」
「い、嫌、ゲームじゃねえよ。お前等、もういいのか?」
「うん!もうそろそろお家に帰ろうと思って」
「コナン君達も一緒に帰りましょう!安藤さんも!」
「い、いや、俺は……」
「コナンくーん?お友達のお誘い断っちゃだめよー?」

愛莉はニヤリとしながらコナンに顔を近づけた。
結局コナンは友達の勢いに流されて、ここは渋々帰る事に決めた。
ついでに言うと、明日は休日でそっちのほうがじっくりあのメモリカードを検証出来るという理由もあった。
愛莉はハリウッドスターも顔負けな演技で、どこの小学生と変わらない雰囲気になった。

「あ」

突然、愛莉は道の先を見つめると、一人の男性がこちらに歩いてくるのが見えた。
すぐにコナン達は誰だかわかり、向こうもコナン達に気づいてこちらに向かって歩いてきた。

「昴さん!」
「やあ、君達か」
「この人だよ!私を送ってくれた人」
「おや、君は僕が送ってあげた子だね。確か愛莉ちゃん?」

愛莉はフフと笑みを広げた。
そこでコナンが出てきて、昴に尋ねた。

「昴さんはどこに行ってたの?」
「あぁ、毛利探偵事務所の下のポアロにだよ。時々あそこのコーヒーが飲みたくなってね」
「ふぅん、そうなんだ」
「じゃあね」
「さよならー!」

歩美や光彦、元太は勢いよく手を振って、沖矢昴に別れを告げた。

「昴さんと知り合いだったの」
「ああ。前に住んでた家が火事になって、今は俺が工藤新一だった頃すんでた家を貸してる」
「へぇ。でも、よく知らない人を家にあげるわねぇ」
「昴さんもホームズ好きだからさ!ホームズ好きに悪い人はいねぇよ」

何故か自信満々に答えるコナンに愛莉は目が点になった。
少々呆れながらも、フッと笑った。