二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 名探偵コナン —最後の銀弾(シルバーブレッド)— ( No.87 )
日時: 2012/09/20 20:37
名前: 未熟な探偵シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: YxL1EeSq)
参照: ジョディってジェームズのこと呼び捨て?さん付け?ボス?なんだったっけ

File18 理想=妄想


ジョディはメモリカードを大切に自分のバッグの中に保管して、現在FBIの仮事務所がある杯戸町へ向かった。
ほとんどの捜査官はそこで寝泊りをしているが、最近はめっきり組織の情報も途絶えてしまったせいか、何人かの捜査官は一時アメリカへ帰国していた。

「さて、メモリカードを出してくれないか?」
「あ、はい」

ジェームズに言われ、ジョディはメモリカードが入ったポーチごと渡した。

「なんだかコーラ飲みたくなって来ちゃった。私近くのコンビニでコーラ買って来ますね。この辺は自販機無いですし」
「あ、じゃあ私も買って来てもらおうかな。あとで私の分払うよ」
「了解」

ジョディは足早に事務所から出て、すぐ傍にあるコンビニの中に入った。
コーラを二本を手に撮りレジに向かい、会計をすませて再び外に出ようとした時だった。
ジーンズのポケットにいれてる携帯のバイブレーションが鳴った。
手探りで携帯をとったと思ったら、うっかり手を滑らせ携帯は虚しく床に落ちた。
周りの視線がジョディに集まり、ジョディは苦笑いをしてかがんで拾おうとすると、先に何者かがジョディの携帯をとった。

「?」

見上げると、そこには何度か見覚えのある人物が携帯を持っていた。

「私とあなたには奇妙な縁があるのでしょうかね。また会いましたね」

沖矢昴が微笑を浮かべてジョディに携帯を渡した。
ジョディ自身、沖矢昴の名前は知らなかったが、デパートでテロと似たような事件があった時に一回、二回目は銀行強盗の事件があった日……。

「そ、そうね。ありがとう」

本当に何かしらの縁があるのか、と心の隅で少し疑問に思いながら携帯を受け取った。
その時、ジョディの中で何かがはじけた。
ピンと張り詰めた糸がぷっつり切れたような、稲妻が暗闇を一瞬だけ照らしたような、そんな感覚に包まれた。

「……」
「では」

昴は頭を下げジョディの脇を通り過ぎた。
ジョディはゆっくりと外に出て事務所に向かった。
頭の中で数々の記憶のピースがはまってゆく。
ただ、これは考えて当てはめてるわけじゃなく、無意識のうちに次から次へと行っていた。

「あぁ、おかえり、ジョディ君。……ジョディ君?」
「え、あ、はい」

気づけば事務所に帰っていた自分に驚きながらも返事をして、コーラを手渡した。
プシュと炭酸が抜ける音が聞こえる。

「ジェームズ、ちょっと聞きたい事があるんですけど」
「ん、何だね」
「前に水無怜奈を杯戸中央病院に入院していた時に、組織の人間がどんな患者に紛れ込んでるかっていう時に、コナン君が組織の人間であった楠田陸道含め、計三人に携帯を落としたフリをして色々探ってくれましたよね」
「ああ、そんなことがあったな。本当あの少年には驚かされる……」
「その時……楠田陸道もコナン君の携帯に触りましたよね」
「確かに触っていたが……。それがなんだっていうんだ?」

しかしジョディは深く考え込んでいて、うんともすんとも返さなかった。
殉職した赤井秀一の顔がふと目の前に浮かんだ。

なぜか赤井秀一と三回も会いお世話になった男性(沖矢昴)が重なった。

楠田陸道を追い詰めたが、自害された時。
水無怜奈を病院から脱出させる際、コナンの提案を断った赤井秀一。
13日の金曜日だ……と呟いた鋭い表情をした赤井秀一。
そして組織の策略により水無怜奈に来葉峠で殺され、車ごと火をつけられた。
高木刑事に、死んだ彼が本当に赤井秀一か確かめるために、赤井秀一の指紋が付いたコナンの携帯を借りた結果同じ人物だと判明した。
その直後、“あの死体は色々と不可解な点があるんです”と言い残した意味深な高木刑事の言葉。



……ひょっとしたら、ひょっとしたら。
ある大きな望みがジョディの胸の中に広がったが、すぐに振り払った。


赤井秀一は生きている。