二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第五話 ( No.14 )
日時: 2012/08/09 20:50
名前: 時橋 翔也 (ID: m.emTaEX)


狩屋は怒りと悲しみの中、一人でとぼとぼと歩いていた
天馬くん…

すると雨が降ってきた
「最悪…」
そう呟くが、急ぐ気にもなれなかった

駅を通り、河川敷が近づく

「あ…」
狩屋は声を上げた

天馬が事故現場のすぐ前に立っていた 携帯でTVを見ているようだ

「天馬くん!」
狩屋は天馬に近づいた
「狩屋…」
天馬は携帯をポケットにしまう だがTVは消していないので、アナウンサーの声が聞こえる

「…俺を責めに来たの?」
「違う!」
狩屋は声を張り上げた

「天馬くんこそ、何でここにいるの?」
「…何でだろ」

『…次のニュースです』
アナウンサーの声だ

「天馬くん、俺は…」

「天馬!!」
すると背後から部員達が走ってきた

「皆さん…」
「天馬…本当にすまなかった」
神童は言った

『先日起きた河川敷での交通事故の被害者の少年が判明しました』

「…俺達は、お前を誤解していた」
「…やっと気づいてくれたんだ」
天馬は悲しそうに笑う

「でも、もう…時間が無いんです」
「松風…?」
剣城が呟いた時、天馬の携帯から声がした

『少年は雷門中学校に通う
松風 天馬くん でした』

「え…?」
狩屋は呟く

「河川敷で起きた交通事故って…この前の?」
「確か少年は死んだんじゃ…」
「え、どういうこと?」
部員達は戸惑う

「……俺は、あの日、雨が降ってきて、急いで帰ろうとしたとき、…トラックにはねられて死んだんです」
天馬は言った
「あ…」
狩屋は声を上げる

この前見た事故現場の少年
誰かに似ていると思ったら、天馬だったんだ

「…もっと、皆さんとサッカーやりたかった」
天馬は悲しく言った
「でも、それはもう叶わない」
すると天馬は向こうへ歩き出す

「天馬!何処にいくんだ?!」
「もう…行かないと、皆さんが謝ってくれたこと、嬉しかったです」

「天馬!!」
神童は声を上げる
「本当に…すまなかったと思ってる!!だから…いかないでくれ天馬!」
「天馬くん!!また…サッカーやろうよ!!」
「松風ッ…!!」

「…ごめんなさい」
そう言い残して天馬は消えていった

そこには、何も残らない