二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: その女、情報屋につき。 [ONEPIECE] ( No.2 )
- 日時: 2012/08/13 17:58
- 名前: 麒麟 ◆kWzP/lVDhA (ID: mxpCGH6q)
- 参照: 「くのいち 着物 画像」で検索したら夢主がどんな服を着ているか解る。
水を打ったような静けさが、其の場所を包んでいた。ワイングラスを優雅に揺らす男と、くのいちが身に纏うような着物を着た女が対峙している。
にやりと嫌な笑いを浮かべる男は、女に向かって突如グラスを投げた。すると、ドロンという音と共に、なぜか女が消えたのだ。女が先程まで居た場所には、行き場をなくしたグラスが、無残にも破片となりて、床の上へ散らばっている。それを見た男は、まるで良い玩具を見つけたというように、からころと笑った。
「さっさと金、払ってくれませんか? それとも、先程渡した情報では満足できませんでした?」
女——もとい、シヅキは、笑みを浮かべる男を、感情の篭っていない目で見つめた。用が無いのならば、さっさと帰らせてもらわなければ、困る。まだ、仕事が残っているのだ。出来ることならば、さっさと終わらせたい。
先程までとは一変、無邪気な笑みを見せる男は、椅子に座ったままシヅキを見上げると、「ごめんごめん」と、平謝りをした。
「そういうわけじゃないんだ。……ただ、その力はどういうものなのだろうと思ってね。教えてくれるかい?」
「プライバシーに関わりますので、此処からは情報料が発生いたしますが、それでもよろしいのならば。」
「ハハ、手厳しいなあ。生憎、私にはお金が余り無い。先日の情報料で精一杯なのでね。また今度、お聞きするとしよう。」
男は、金の入ったキャリーケースをシヅキに押し付けると、椅子をくるりと後ろへ回して、彼女に背を向けた。其の行動は、「帰れ」の合図であると知っているシヅキは、見えていないと知りながらも、深く礼をして、その場を去った。
——否、去ったという言葉は適切ではない。正しく言えば、冒頭と同じように、音を立てて〝消えた〟のだ。
【名前はシヅキ。女。年齢不詳。見た目は20歳前後。童顔。絶世の美女とはいかずとも、中々整った顔立ちをしている。中肉中背。無表情。真っ黒い着物を来ていて、懐には隠し持ったクナイと手裏剣。忍術を使える。忍者。腕の立つ情報屋でもある。時に始末屋のような仕事をすることも。】
——以上が、彼女の簡単な情報である。シヅキは、これだけの情報しか持たない。彼女の情報は、無に等しいのだ。そんな彼女を、人は親しみを込めてこう呼ぶ。
常に網目状の巣の如く、情報を張り巡らし、静かにターゲットに忍び寄る。
——〝黒い蜘蛛〟——と。