二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:  その女、情報屋につき。 【ONEPIECE】 設定更新。 ( No.7 )
日時: 2012/08/13 17:59
名前: 麒麟 ◆kWzP/lVDhA (ID: mxpCGH6q)

「——センゴク元帥殿!」


 慌てたような海兵の声が、廊下に響き渡った。「正義」と記された白いコートが、窓から吹き抜けてくる風に揺れる。センゴクは、海兵の声を背に受けて、振り返った。海兵が、息も絶え絶えに、センゴクの元で止まる。


「例の情報屋の件ですが——引き受ける、と! ですが、海賊の情報に関しては危険を伴うので、100万ベリーからだと仰っていました!」
「そうか…。それで、“黒い蜘蛛”は今から?」
「はい! もうすぐに本部に着くということです!」


 海兵が、敬礼しながらそう言葉を紡ぐと、バリーンッとガラスが割れる音が響き渡った。どうやら、センゴクの部屋のガラスらしい。海賊の奇襲かと、周りの海兵が慌てふためいている。


「……正面口から来いと何度も云っておるのに…!」


 センゴクは、やれやれと云う様に首を横に振り、頭を抱えた。きっと、犯人は“黒い蜘蛛”であろう。あの女は、いつもマトモに本部に入ってこない。確か、面倒だからだと云っていた様に思う。センゴクは、海兵に「ご苦労だったな」と一言告げると、コートをひるがして部屋へと向かっていった。




  ***




「あ、お邪魔してます。」
「シヅキ…! おまえ、正面口から入れと云っただろう…!」


 怒りをあらわにするセンゴクを、まあまあと宥めながら、シヅキはお茶を啜った。どうやらたまたまセンゴクの部屋に居たガープから、貰ったものらしい。ガープは数分前に出て行ったのだと、シヅキは云う。


「ダウト海賊団の情報でしたよね。料金は後払いで、満足出来なかった場合は追加情報も承ります。」
「……。」


 無言は肯定の証だと勝手に解釈して、シヅキは目を瞑った。どうやら頭の中を整理しているらしかった。目を閉じたまま、シヅキは口を開く。そのままつらつらと情報を並び立てた。


「船員全員が南の海出身の、ダウト海賊団-総合賞金額3億1400万-は、只今現在シャボンディ諸島にいる模様です。1番ドッグに着けている船の中にはアラバスタ、ウォーターセブンにて攫ってきた人質がいます。重火器小火器共に59器あるようです。船長のルックとその一行は11番GRの“バー・ウェンディ”に。副船長のセルディバードンは13番GRの“シャッキー'S ぼったくりBAR”でぼったくりに合っています。ルックはモーニングスターという武器を使いますので近距離で戦闘するのは危険です。遠方からの狙撃で弱らせてから捕まえるのが妥当かと。セルディバードンはもっぱら銃を使うようですので、自然系の能力者を前線に出し、バズーカ砲、または腕の立つ剣士に銃を破壊させ、あとは一斉攻撃。他の船員は悪魔の実の能力で攻撃してください。ルックとセルディバードンを倒せばあとは楽勝です。…以上。」


 シヅキは、淡々と同じ口調で噛まずに言い終えると、センゴクに向き直った。センゴクは、顎に手を添えて唸っている。シヅキは、その姿を見ながら、お茶を啜った。


「100万ベリーからといいましたが、其処まで危険な任務でもありませんでしたので、80万ベリーで結構です。他に何かありますか。」
「ああ。…役に立った。すぐ海兵に行かせる。」


 センゴクは、柔く微笑むと、あらかじめ用意していたお金の束をシヅキに渡した。シヅキはお金を、ひぃふぅみぃ…と数えると、「確かに」と懐にしまう。


「また、頼まれてくれんか」
「勿論」


 シヅキは、淡く微笑むと、割れたガラスから飛び立っていった。成程、あれが浮遊術というものか。センゴクは思う。


 けれど、正面口から帰って貰えないだろうか。センゴクは苦笑を浮かべた。