二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫 -僕等の世界- ( No.12 )
日時: 2012/08/23 11:11
名前: 快李 (ID: qs8LIt7f)

     第八輪 -時は超え-


 あれから何年も経って、リクオは中学一年生になった。僕達はまだ、正体を聞き出せないままにいた。いや、聞いてない。・・・なぜか、怖かった。自分の事を知るのが・・・知らないよりもずっと。

「おはよう丕!今日こそ学校行こうよ!」
「・・・行かない」
「どうして?最近休みっぱなしだよ」
「・・・良いから」
「わかった・・・。リクオ、行こ!」

 入学式から一週間。その間に「清十字怪奇探偵団」という清継が部長的な部活的なのに入れられた。部活かどうかなんて知らない。・・・思えば、最初の一週間しか学校に行ってない。
 嫉妬・・・焼きもちなのかもしれない。奏は・・・もう人間に馴染んでしまった。だから僕は一人になることが多い。・・・僕等は小さい頃からずっと手を繋いで、一緒にいた。自分達だけの世界を作ってた。なのに・・・もう僕等の関係は終わりかけている。

「丕くん」
「若菜さん?」
「ちょっといいかしら」
「・・・はい」

 食卓に行くと、若菜さんは袋とメモと、二千円が入った財布を渡してきた。

「おつかいに行ってきてくれる?買うものはメモに書いてあるから。そうそう、余ったお金で欲しいもの買ってきてもいいわよ」
「・・・わかりました。行ってきます」
「気を付けてね」

 リクオはガゴゼの時以来、妖怪に変化することはなかった。逆に「立派な人間」へと成長していた。三代目を僕を期待している妖も少々いるが、僕は断然拒否だった。
 あの時見たリクオの背中は、大きくて凛々しかった。それは組のみんなが承知している。・・・僕は小さな背中で、頼りない。奏を取られて嫉妬してるくらいだから。

「・・・イチゴ、グラニュー糖、バター・・・」

 まるでお菓子の材料みたいだ。グラニュー糖なんて普通の料理には使わないし。・・・今日のご飯は何なんだ?
 やけに周りから視線を感じて、なんか嫌な気分になった。お金は700円くらい余っていて、何故か自然に足が花屋に行っていた。そこにあったのは、奏が好きな花「百合」価格は200円で、迷わず買ってしまった。

「プレゼントですか?」
「・・・はい」
「リボンは何色がいかがですか?」
「・・・桃色でお願いします」
「はい」

 家に帰って、買ってきたものを若菜さんに渡した。若菜さんの視線は、真っ先に百合の方に行った。

「二人共、仲良いのね」
「・・・わからないです」
「そう?私は良いと思うけどな」

 優しく微笑みかけてくれても、笑って返せなかった。昔は間違えなく仲は良かった。でも・・・今は。