二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ぬらりひょんの孫 -僕等の世界- ( No.9 )
日時: 2012/08/19 14:33
名前: 快李 (ID: qs8LIt7f)

     第五輪 -僕の妖は-


 教室に入ると、やっぱり誰もいなかった。それより今日は、ガゴゼのあの言葉が気にかかる。「今日トンネルを崩すぞ」浮世絵のバスは、帰る時トンネルを通る。
 総会の終わり、ガゴゼからとてつもない殺気を感じられた。もしかすると・・・いや、考えすぎか。アイツは本家の人間だし、もしそうなったら自分がどんな立場になるかわかるはずだ。

「お、おはよう丕くん」
「あれ、誰?その子」
「初めまして、奏です。よろしく」

 クラスメートの巻と鳥居がやって来た。小学生で金髪は少し気が引ける。リクオとカナも到着して、教室が騒がしくなった。奏は皆に囲まれて、僕は孤立した。あのバスの中のような空間は・・・ここにはない。
 ドアを開けて教室を出るとき、奏の視線が感じられた。・・・人ごみは嫌いだ。ましてや奏以外の者と仲良くなるなんて。僕は奏がいれば生きていける。

「・・・丕」

 授業は、屋上で寝ててサボッた。というより、サボッてしまった。いつの間にか温かい日差しを浴びて、寝てしまった。ここは僕のお気に入りの場所。奏の隣の次に、温もりがある。

「・・・奏」
「帰ろう。みんな心配してたよ」
「ゴメン」

 バス停に行くと、リクオがポツンと立っていた。昨日の妖怪の話で、皆に嫌われているのだろうか。

「リクオ」
「ほっといてよ!」
「・・・あっそ」
「あ・・・待ってよ丕!」

 奏ならその場でリクオの側に居続けるはず。そんな事わかってる。でも・・・奏が誰かに取られるのが気に入らなかった。いや、怖かった。また誰かに取られて、変なことになりそうで。

「・・・リクオ大丈夫かな?」
「知らん」

 トンネルに着いた。上には、見覚えのある妖怪たちが鎌を持っていた。「ガゴゼ」と僕の眼が合って、僕は挑発するように微笑んだ。そして、口を開けた「やれるものならやってみろ」
 その瞬間、トンネルが崩れて閉じ込められた。バスは横転して、運転手はどっかに行った。俺達子供だけが残って・・・泣き叫ぶ。

「みんな・・・大丈夫だから」
「うわーん」

 心臓が高鳴った。いや、何かが来る。そして僕を呼ぶ「リンコウケイ」昨日出てきた、あの者。皆には見えなくて、僕と奏しか見えないあの者。

「・・・力を貸してくれるの?」
「!」

 僕達二人の手に、一つの大きな輪が置かれた。それが「輪交繋」の使う武器・・・「輪」その輪はどこかで切る事も出来たり、大きくしたりも出来る。これが妖の力。