二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

a title[昔乍らのコケシと囲炉裏] ( No.10 )
日時: 2012/08/17 09:11
名前: 蒼月律零瑠 (ID: DkN/A4kL)
参照: 花って英語に直すとカッコいいよね←

渋々中に入るが、何と見た目と反対に中は凄く綺麗だ。囲炉裏や材料切る時に必要な出刃や菜切りなんかの包丁が用意されてる。オマケに座敷は広いし人数分の布団まで敷かれてある。
コレは有難い。幻滅してホントに御免なさい。
騒いでいると扉がゆっくりと開く音がしたと思えば、一人の老婆が入室してきた。
季節は夏だし今は夜だし、驚くのも当たり前だよね。もしかしたらあの人、山姥かもしれないし

「貴方方が雷門という名門サッカー部の部員さんですね? 初めまして、私は名乗るほどの者ではありませんが、とりあえず『千歳』と呼んで頂きたい。
こんな寂しい山奥に態々御越し頂き感謝感激雨霰です。短いですが、何か用が御座いましたら申し付け下さい」
「いえ、此方こそ。宜しく御願いします」
「まぁまぁ、凛々しく大人びた男の子だこと。何も無い襤褸屋敷ですがどうぞゆっくりしていって下さいね」

使用人の千歳さんはそう言い残して出て行った。優しそうな人だったなぁ。



明日の特訓は何時もの練習とは異なり凄くハードだって神童先輩が言ってた。だから今から準備しておかなくちゃ明日の特訓で怪我しちゃった時対応出来なくなるからね。
それに、〝備えあれば憂いなし〟っていう諺があるし。

「何やってんだよ。 明日の準備でもしてんのか?まめな一年だなぁ」
「あ、倉間先輩。 そうでもしないと出遅れちゃいますよ。一人だけベンチ入りされたくないですし」
「成る程な」
「倉間先輩こそ何してるんですか。 半田先輩達とウノやってたんじゃないんですか?」
「抜けてきた。 流石に同じ遊びを立て続けにやってたら飽きんだろ?」
「あー、そうですよねー」
「…ところで天馬」
「ハイ?何でしょうか」
「その白い紙袋は何だ」

何かに気付いたのか倉間先輩は俺の鞄の中を漁り、小さな紙袋を取り出した。俺は其れに視線を向け目を見開く。
他人には見られたくなかった。だってその袋は——————————

「…?! 何だコレ!精神安定剤だあ?!」
「ッぁ、———」

見られてしまってはもう何も言えない。
言い訳すら出来ない。

「御前ッ、どっか悪ィのかッ!」
「倉間先輩ッ、—————」

ここで驚かれても困るので、慌てて倉間先輩の腕を強く掴んで人気の無いところを目指して一目散に走った。
痛いから離せと言われても離さない。
だって、先輩は知ってはいけない事を知ってしまったから。




another title/[知ってはいけない事を知ってしまうのは恐ろしい事なんだ]