二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- a title[紐(ジュバク)] ( No.15 )
- 日時: 2012/08/17 17:21
- 名前: 蒼月律零瑠 (ID: DkN/A4kL)
- 参照: 花って英語に直すとカッコいいよね←
「じゃあ、本当に俺が居なくても大丈夫なんだな」
「ハイッ、先輩の御陰で何とか精神も治まりましたし」
「分かった。 だが、ちょっとでも異常を感じたら直ぐに呼べよ」
お休み。何時もは見せない柔らかな微笑を浮かべ倉間先輩は退室した。
大丈夫。夢の順番はもう把握出来てるし、いざという時に先輩のとこに行けば良いんだから。
安心感を感じて俺はゆっくりと目を閉じた。
「あ、れ…?」
可笑しい。何時もだったら暗い空間の中なのに今回は違う。真っ暗じゃない、藍色に明るんでいる。
とりあえず歩いてみるが、何時もと異なった空間の中を彷徨えば彷徨うほど藍色から藍鼠へ、藍鼠からアイボリーへ、どんどん明るんでいき、最終的に真っ白く染まっていった。
今まで同じ夢を見続けてきたから変に、良く分からなく感じる。もう少し先を進んでみれば床に人影の様なアッシュグレイの物体?が揺ら揺らと陽炎みたいに揺れていた。
気になったので駆けつけてみたら其処には意外な人物が俺に背を向けた状態で佇んでいた。
其の人物とは—————
「倉間先輩ッ?!! 如何して、此処、に…」
『ッ、何だ。御前か…』
振り向いた倉間先輩。だが、倉間先輩の目は虚ろで醜悪な人間に向けられている様なものだった。
「倉間せんぱッ『なぁ天馬、』———ッ?!!」
『御前さぁ、自分が正常だって思ってるのか?』
「ッ、何、を…」
『御前がそう思ってても此方から見りゃキ*ガイだっつーの』
「そん、なぁ…」
臆する俺を見て倉間先輩はカラカラと笑う。
『あと御前、現実でもう一人の〝俺〟に諭されたんだってなぁ』
「…。」
『もう一人の〝俺〟を信じちまったんだってなぁ。 御前、騙されてるぜ?』
「違うッ…!」
『違くないさ。 現実の俺(アイツ)の言った事は只の〝飾り〟だ。
…人間は平気で嘘を付く生き物。飾った言葉で相手を欺く。 『善』だって其の一つ。所詮人間は私利私欲の塊って事さ』
「違うッ!!違う違う違うッ…!!!!! 現実の先輩(アナタ)は俺の事を想って…!」
落ち着け俺。これは夢なんだ。現実じゃない。たかが夢の中で何ムキになってるんだ。
そう自分自身に言い聞かせても上手く感情の制御が出来ない。
何時の間にか倉間先輩は俺の背後に回りこんでいた。そして優しく両手で俺の首を掴んだ。指の感触は人間の指と思えないほどザラザラしていて鮫肌と連想させた。
段々と倉間先輩の指が俺の首に食い込み、そして遂にブチブチィッ!と生々しい音を立てて中に食い込んだ。
「う〝あ〝ぁぁぁああああぁぁああ〝ぁぁぁぁぁああああッ!!!!!」
食い込んだ其処から生暖かく鉄臭い何かが俺のジャージの中に入り込んでいく。
倉間先輩は面白そうにズブズブと掻き回し中を抉る。
走る激痛に耐え、力尽くで倉間先輩の指を離れさせようと先輩の腕に手をかけたが、相手の力に及ばなかった。
倉間先輩は耳元でこう囁いた。
『御前は狂気の子として生まれてきたんだ。 現実を受け止めたらどうだ?』
「嫌、だぁ…! 俺は…、俺は正常だぁあぁぁぁあああぁぁぁぁぁああ!!!!!」
『受け入れないと益々苦しくなるだけだ。 狂気に身を委ねてみろよ。スッゲー楽になるぜッ!なぁ!なぁ?!』
やっぱり俺は正常になれないのかな。直そうとしても結局狂気が打ち勝っちゃうのかな。
如何しよう如何しよう助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて
———『助ケロ』
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another title/[呪縛から解き放てない哀れな子供]