二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- a title[墓地に埋まる脳細胞は] ( No.22 )
- 日時: 2012/08/23 20:33
- 名前: 黒狼架蒼月 (ID: DkN/A4kL)
- 参照: ついに再びやらかしてしまったよ…orz
「だ、大丈夫か…?」
「えぇ、別に殺人犯に胸とか足とか刺されたワケじゃないですし。 大した事ありませんよ」
「そ、そうか。なら良かった…」
そう言いながらも青山先輩は震えた手で傷口をそっとなでてくれた。
すると脳内に一瞬倉間先輩の声が聴こえてきた。
『コイツも天馬と同じ狂人だな。 天馬ほどじゃないが、相当壊れてやがる』
夢じゃなくても話せるのか。と突っ込みそうになった天馬だが青山先輩に一体何があったのかなぁと気にした。少しだけ。
「…良かったよ、天馬が無事で…」
ポツリと青山先輩が何かを呟いた。
表情を伺えば暗い瞳が潤んでいて今にも泣きそうだ。
そっと背中の上に手を乗せるとヒィッと小さな悲鳴が上がった。それはまるで何かを拒絶すかの様に…
「…御前も俺と同じ狂人、なのか?」
「えッ、」
「天馬は俺と同じ惨めな人生を過ごして来たのか?」
呟きの次は聞こえる程度の声量で吐き捨てた。
益々表情が険しくなりとうとう声を抑えながら泣き出した。
俺同様惨めな人生って一体何だろうか。
さっきまで曖昧だった気持ちは今度は純粋に変わり興味を持つようになってきた。
「小学時代の頃、青山はクラス中に虐められていたんだ」
その中性的な声は半田先輩?というか何故此処に?
「半田先輩。 何時から居たんですか」
「いや、気絶した天馬が保健室に運ばれて直ぐだったかな。
青山が顔を真っ青にして天馬が眠る部屋に向かったんだよ。
俺も慌てて追いかけたけどさ、此処広いから迷っちゃってさ…」
「何時から此処に…」
「んー? 青山が天馬に大丈夫かって労わりの台詞を言った時かな」
「そうですか。 …半田先輩、その…何で青山先輩は何時も挙動不審なんですか?」
「あ、あぁそうだったな途中話が逸れちまって…」
「無駄口はいいですから理由を教えて下さい」
「…青山、小1の頃からずっと虐められてきたんだ」
初めての虐めは些細な事から始まったんだ。
昼休みの時、あるクラスメイトが誤って窓を割ったんだ。
其の瞬間を目撃した俺は直ぐに先生に知らせに行った。…まぁ、青山達が何があったのか知らないけどさ。
んで、駆けつけた時は犯人のクラスメイトは嘘泣きしながら〝青山がやったんですぅッ!!〟って先生の目の前で青山に自分の罪を擦り付けたんだ。
当然嘘泣きだと分からなかった先生は思い切り青山の頬を引っ叩いたんだ。何発も、な…。
俺も必死で青山を助けようと反論しようとしたけどさ、結局信じてもらえなかったんだよ。
罰として教室中の掃除をさせられている青山の姿を見て嘲笑っているアイツの顔が今でも吐き気を促すほど覚えてる。
其の日から徐々に虐めがエスカレートしていったんだ。パシリや脅し、青山は何でも我慢して受け入れてやってた。その所為で青山の精神は壊れだして今の様な状態に陥ったんだ。
え?否定はしなかったか?…したよ、一度だけな。
何時の事だか忘れたけど、精神的に限界が達したのか青山は否定したんだ。もう止めてくれって。限界だって。
そしたらアイツ等集団で青山を殴ったり蹴り入れたりしたんだ。でも其れだけじゃアイツ等は止めてくれなかった。虐めっ子数人で青山を押さえ付けて其のリーダーがカッターで青山の頬に当てやがったんだよ。
だから俺、見ていられなくてさ、青山を必死に庇ったんだ。其の時の傷は今でも残ってるんだけどな。
血をダラダラ流す俺見た奴等、顔真っ青にしてさ青山にカッター持たせた後一目散に逃げてったんだよ。
青山はボロボロ泣きながら俺を心配してくれたけどさ、アイツが無事なら俺はどうなっても良いんだ。
「…成る程、そうだったんですか」
「サッカー部に入るまで青山は俺以外心開く事無かったんだけど、この部に入ってから少しだけ心が癒えた様な気がするんだよ」
「でも、さっき俺を心配してくれたのは一体…」
「さぁ? …でも、アイツは思いやりの心だけは残ってるんだけどなー」
半田先輩の過去の語りを聞いたものの、青山先輩の謎の行動?が理解出来なかった。
練習を再開しようと思ったけど、半田先輩は今日は休めって休息を促してくれたので俺は御言葉に甘える事にした。
*
another title/[埋葬された遺品は一滴の涙と黒ずんだ骸]