二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 記憶喪失少女[inzm] ( No.3 )
日時: 2013/01/27 15:27
名前: 音愛羽 (ID: Pc9/eeea)




(((ナンバー2.居候させていただきます……)))






「え?」

夏美が素っ頓狂な声を出した。
まぁ、自分の名前を知らないというのだから無理もないか……?

「わからないんです……自分のこと……。私が誰なのか記憶がないです」

「まさか……だってそんな……」

「夏美さん……」

「あなた、思い出とかの記憶もないわけ?」

「……はい」

「いえの場所も?」

「はい」

「大変じゃない。家に帰れないどころか自分の事もわからないなんて……」

「……そう、ですね」

そういわれたってしようがない。
だってわからないんだもの。思い出せないんだもの。

「私、住む家もないんですね……。思い出せないから……」

「お金もないんでしょう?」

「はい」

「……いつまでもここに入院するわけにもいかないしね?」

「はい……」

ていうかここ病院だったのか。

「あの……あなたたちはなぜ私を助けてくださったんですか?」

「あなたが落ちてきたからよ、階段から」

夏美が言った。
階段の下にこの二人がいたのか。

「正確に言うとね、まぁ……サッカーの練習中にあなたが階段の上から落ちてきたの。
  私たち雷門中学校のサッカー部マネージャーで……」

秋の話をまとめよう。(この後続く長い話を)

簡単に言うと、秋たちは雷門中のサッカー部マネージャーらしい。
河川敷で練習していたところ、私がゴロゴロと転がり落ちてくるのが見えたんだとか。
みんなあわてて練習を中止し、私の様子を見て救急車を手配。
病院に運ばれた私は脳の検査やなんやらをうけ、そして今の状況に至る。

秋と夏美が私について看病してくれていたらしい。

「私のために……すみません」

「いいのよ」

そういって笑う秋。無事でよかったわ、というと夏美が口を開いた。

「あなた目が見えてなかったの?」

「ぇ……?」

「だって、階段みえてたら落ちないでしょ?」

「……」

そりゃそうだ。
確かに見えていなかった。あの時私は熱か何かに侵され視力は死んでいた。

「そうですね、見えていませんでした。気づいたらこの町のどこかにいて当てもなくふらふら歩いていたんです。
  そしたらふっと足元がなくなって、あとはもう……」

「そう……。すごい熱だったから無理もないわ」

やはり熱だったか。

「……わかった」

「はへ?」

急に夏美が大きな声を出したので今度は私が素っ頓狂な声を発する。

「私の家に来なさい」

「えっ!?夏美さん?」

「一部屋くらい空いてるわよ。っていうか空き部屋ばかりで困ってるの。
  ちょうどいいわ、あなたが記憶を取り返すまで私の家で生活して」

「そんな急にじゃ……お家の方が困ってしまいますよ」

「大丈夫よ。ちょっと電話してくる」

「あの……!」

という私の呼びに応答はなく、病室を出て行った。
……無視か。

「大丈夫よ、夏美さんって、お嬢様だから」

「はへ?」

「雷門中学って言ったでしょう?夏美さん、雷門中学理事長の娘さんなの」

「……」

ただ唖然としてましたよ。
いや、だって……予想が的中するなんざ、思ってませんでしたからね?
そうこうしているうちに私はなぜか夏美の家に住み込むことになってしまった。
うん、どうしようか?

「ねぇ、条件付きでもいい?」

嫌と言ったらどうなるんだろう?

「サッカー部にはいって」

「ひゃい?」

今日三回目の奇声を発した私です。

「あなたたぶん私たちと同学年だと思うの」

「どうしてですか」

「服よ、服。中学校の制服を着ていたの。しかも……」

「私たち雷門中の」

「ええ!!??」

なんでだ?
私は雷門中の生徒だったのか?

「でもね、あなたの事探したけど、うちの中学にあなたはいないの」

「じゃあどうして……」

「それはわからないわ。でも調べたって出てこないじゃない?
  だからあなたの記憶が戻るまで待つわ。それよりあなたの制服のリボン。青だったから、中一よ」

「中一……」

「ええ。だからね?うちの中学に通って、サッカー部に入って」

「お金は……?」

「パパが何とかするって」

「……わかりました。ほんとに良いんですか……?」

いいわけないだろ。

「ええ」

ま・じ・か!




えーというわけで、夏美の家に居候させていただくことになりましたー。


……いいのか、私、これでいいのかー!?