二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: [イナイレ]-プリンスのDNA ( No.132 )
日時: 2012/11/03 18:28
名前: 優騎那 (ID: hoeZ6M68)

第三十三話 『揺れるハート』

夜が明けた。
シュリアンヌは朝一番に起きて朝食の支度を始めた。
将が野球部の朝練があるため6時頃に起きてきて、七時にはもう家を出た。
オリビアは朝練がない日だったので、ゆっくりめに6時50分に起きた。
不動もほぼ同じ時間に重いまぶたを持ち上げた。
浪人の身分である実は一番遅く7時半頃、オリビアと不動が家を出る時間に起きてきた。

「「行って/来ます!!/参ります!!」」
「気いつけてや〜」

玄関を出て、オリビアは右へ曲がる。
なぜか不動も同じ方向に。
帝国学園は雷門と正反対の方角にある。
だとしたら不動が方向を間違えているか、自分が方向を間違えているか、二つに一つだ。
考えるのも億劫になり、オリビアは邪魔な思考を脳内から振り払った。
スマホから歌手音ピコの「ピコピコ☆レジェンドオブザナイト」が鳴る。
エナメルバッグからスマホを取り出してディスプレイを見ると、先日と同様に非通知だった。

「一応出ろ。出て須藤だって言ってきたらおれに代われ」

オリビアは不動の指示に従うことにした。
黙ってうなずいて一応電話に出た。

「はい…」
『僕が誰だかわかる?』
「……最狂ヤンデレ大うつけ愛媛県産」
『農作物みたいに言うな!!』

ナイス突っ込み、と胸の内で電話の向こうにいる男に賞賛を述べ、不動に代わった。

「芝居が下手なのは相変わらずか?蜷川くん」
『なんだ……わかってたのか』
「ったりめぇだ。てめぇが追っかけ回してくれてるおれの彼女から直々に聞いた」
「『!?』」

不動の爆弾発言に驚いたのはオリビアだけではなかった。
どうやら、須藤と名乗っていた蜷川大輔もそうだったようだ。

『あっそ。じゃぁ、おれにはその方が都合がいい』
「あ゛?タバコが吸いてぇ?おれ達受験生だぞ。高校受かりたくねぇのかよ」
『違うわボケ!!どうやったらそう聞き間違えるの!!?』
「悪ぃ悪ぃ。それよか、ストーカーなんてやっちまってる以上は高校受かるわけねぇか」

それ以上の会話は必要ないだろうと判断し、不動は通話を切った。
オリビアと不動に正体が割れていることを蜷川に伝えるには今ので十分だった。
不動はオリビアにスマホを返した。

「あ、明王様…」
「んぁ?」
「その…貴殿の彼女とは……」

不動はオリビアの鼻頭に人差し指を突き立てた。

「お前。ありゃマーキングだ」
「はぁ…」
「別に深い意味はねぇよ」
「い゛っ!!」

不動は突き立てた人差し指に親指を合わせてオリビアの額にデコピンをした。
鍛えようがない場所に地味な痛みを感じ、思わず額を抑えた。
オリビアはどうも腑に落ちなかった。
なぜなら自分のことを彼女だと言い切った不動に———






———少しだけときめいてしまったから