二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: [イナイレ]-プリンスのDNA-立て直し ( No.35 )
日時: 2012/08/20 20:04
名前: 優騎那 (ID: FRnJyOeS)

「須藤の名前を出すでない」
「悪い。考え過ぎだったか」

オリビアは鞄に妖刀"偉大寿"をしまった。

「だけど、あいつがその刀を投げ込んだとしたら、姉ちゃんやべぇぞ」
「わかっておるわ…」

将をおいて、オリビアは階段を下りていく。

「(須藤…わたくしならここに……!!)」

パタパタと静かな階段にオリビアの上靴の音が反響する。

「なぁ——」

将の声でぴたりと足音がやんだ。
オリビアは弟の方を振り返った。

「何じゃ?」
「姉ちゃんがしょっちゅう転校してたのって、その、須藤絡みか?」

オリビアは黙るしかなかった。
弟とはいえ、渡せない情報もある。

「違う」
「じゃぁ、何で「惚れた男を…守るためじゃ」……!!」

将は姉と同じ双眼を見開いた。
有無を言わせぬ姉の視線に将は気圧された。

「万が一、須藤にわたくしに好いたお方がおると知れたら、須藤はそのお方を殺しに行くであろう。
そうなれば、わたくしが想う殿方のお命が危うい。
わたくしがそのお方の近くにおらぬ方がよいのじゃ」

——たとえ、決して消えぬ傷を受けることになろうとも。

オリビアは頬に水を光らせた。

「あのお方は、どなたにも生意気な口を利き、世辞も言えぬほど一匹狼で、誤解されやすい。しかし、わたくしのこととなると自分だけが犠牲になろうとする……」
「………………」
「彼にも知られてはならぬ。大丈夫じゃ。わたくしなら負けぬ」

オリビアは涙をぬぐい、そこを去った。
将に残ったのは言いようのない切なさと、行き場のないやるせない憤りだった。

「何で…そんなに強いんだよ……」