二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: アヴァロンコード ( No.558 )
日時: 2013/04/04 18:11
名前: めた (ID: FY5Qqjua)

ティアがラウカと風のように去ると、ヴァルドはくるりと振り返った。

囲炉裏には焼かれた肉が骨に突き刺さったままジュウジュウ音を立てている。

それを獲物を見る目でヒースが焼け具合を確かめている。

もうじき食い時だな、などといっているがそうはならないことをヴァルドは知っている。

自分のために肉を焼いてくれるのはいいが、もうじき自分はここにはいなくなる。

「ヒース、悪いけれど留守を任せたよ」

え?という顔でヒースが顔を上げて、ヴァルドを凝視する。

だがいつものように何食わぬ顔でケロッと言う。

「私はハクギンツバキなる花を見たことがない。だがカレイラの王にお目どおりが出来ない今、私は暇人だろうから、そこらじゅう歩き回って探すつもりだ。だからラウカが帰るまで留守を頼むよ」

そして背中を向けようとすると、慌てた様子で立ち上がった。

騒々しい音がするので振り向くとヒースが急に立ち上がろうとしてしびれた足で転んだ音だった。

しびれた足を痛そうにさすり、うめいている。

「それじゃあ、いってくるよ」

そのまま扉に手をかけようとすると、ちょっと待った!とヒースが騒ぐ。

「帝国の皇子がうろついていたとなると全力で首を取りに来るかもしれない!ここは俺が行きます!」

「—でも、足がしびれているんじゃないの?」

顔はいたって真面目でやる気に満ちているが、足が電気が流れたようにしびれている。

だがそうヴァルドが断ろうとすると、勢いよく立ち上がった。

悲鳴を上げるのを我慢して、すっくと立ち上がるとぎこちない足取りで顔をゆがめないように我慢しながら扉を押し開ける。

ヴァルドがあっけに取られてそれらの動作を見ていると、ヒースは外へ出て行った。

「待ってよ、私はまた待機か?私もハクギンツバキというものを見てみたいのだ」

そう叫ぶが、階段を下りてどんどん見えなくなっていくヒースは皇子はそこに隠れていてくださいと、目で訴えるだけだった。



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世界協定→ヒースのお使い