二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【D.gray-man】天空ノ記録 ( No.11 )
日時: 2012/08/20 17:36
名前: ライ ◆64PzB9jtgM (ID: hap96gvm)

【再会】


「シア。今はなんと名乗っておるんじゃ?」

廊下に出て最初にブックマンが口にした言葉がこれだった。

アリシアはまっすぐにふたりをみて答える。

「アリシアって言ってる……」

アリシアがそういうとブックマンは「そうか」と呟きラビと顔を見合わせた。

「どうしたの? おじいちゃん、ディック」

アリシアが不思議そうに答えるとラビが口を開いた。

少し戸惑っているようにも見えた。

「アリ、シア。お前どうしてココにいるんさ?」

「どうして…って、だってディックとおじいちゃんがいるから」

アリシアは当たり前のように微笑んだ。

ラビはそれをみて「…ふぅ」と笑みをもらす。



「アリシア。“あの時”お前はどうして助かったんじゃ? 絶望的だったろうに…」


その言葉にラビもアリシアも黙る。

そしてアリシアは気まずそうに首をかしげる。

「よく、分からないの…。私もディックたちの役に立ちたくて、前の記録していたの…急に意識が無くなっただけ」

喋るうちにアリシアは怖くなって、両手を握りしめる

「目を覚ますとディックたちはいなくて…、はやく追いつかないと、旅に置いていかれちゃうって…思って…」




「もういいだろ。じじい。アリシアが無事ならよかったさ?」

ラビがふるえるアリシアの前にたち言葉を制した。

「そうじゃが…。助かったのには裏があったら? わしらは記録せねばならん」

『目的を忘れるな……ラビ』

ブックマンはそんな瞳をしていた。

ラビは何も言えなくなり、アリシアを振りかえる。

「アリシア、何か分かったら記録してオレとじじいに教えるんだよ」

アリシアは顔をあげ、「うん」とうなずいた。


「この話はここで終わりじゃ」

ブックマンが言った。

「え?」「んあ?」

とアリシアとラビは聞き返した。

「アリシア。よく無事で帰ってきたな……、本当に、よかった…」

ブックマンの瞳にはもう仕事という文字はなくなり、「アリシアのおじいちゃん」「ラビの師匠」にもどっていた。


(このじじい…仕事になるとこわいんさ…)

(しょうがないよ…おじいちゃんだもの)


そう言って二人は笑った。

ブックマンも嬉しそうに見ていた。


でも、三人とも心の中では分かっている。


『…………黒の教団のみんなにココロを許してはいけない………』


————と。