二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.101 )
- 日時: 2012/11/28 01:28
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: 4HUso7p7)
- 参照: 第二篇/Silent Saneness (狂者は嗤い乍ら泣き喚く)
弾かれたように空を見上げたクレイジーの、ただでさえ直視しがたい眼が更に鋭いものを帯びる。そのくせに、閉じた受信機を私に押し付ける力には、何処か加減がされてあった。
突き返された受信機を受け取り、私もまたクレイジーの見る先を見上げる。
スマブラに於ける上必殺技……イカロスの翼を借り、宙に浮きながら神弓を構える、ピットの姿があった。一昨日操作した時の情けない顔は何処にもなく、スマブラメンバーとしての、凛々しい戦士の顔がそこにある。
「小夜子さんに何をするつもりだッ!?」
第二矢を引き絞りながらの恐れなき叫び。対するクレイジーは力無く座り込んだまま、しかしそうは思わせない威圧感のある声を、不気味に笑むその口、或いは喉の奥から、静かに絞り出した。俯きながらも空に向く、狂気を含んだ黄金色の瞳が、薄くピットを睨む。
「何もしちゃいねェ。何をするつもりもねェ。飛べない天使がいきがるなよ、とっととそいつを仕舞え」
「ッ……!」
飛べない天使と呼ばれたことが癪に障ったか、それとも声の響きに気圧されたか、彼は空中で神弓の持ち手に手をかけると、一気に引き離して二つの片手剣に分解した。一方のクレイジーは余裕綽々、といった風情で立ち上がり、左手をちょうど拳銃のような形にして、人差し指の先をピットに向けている。
指先には、碧い光。その凶悪な神々しさと静けさは、例えるならば、チェレンコフ光。
——いけない。そんなこといけない。
世界中を敵に回しても私達と闘い続ける、そう公言したクレイジーのことだ。わざわざ「馬鹿馬鹿しい」とまで理由を付けて、此処を破壊せずに残したのには、彼なりに何か決めたことがあるハズなのだ。
それを彼自身が破ってしまうなんて、そんなのはダメだ!
イカロスの翼の効果が切れるまでは後少し、クレイジーの指先に人を殺すだけの力が溜まるのも後僅か。正に一触即発の空気の中へ、私は恐怖を押し殺して、割り込んだ。漉(こ)しに漉され、限りなく混じり気のない殺気が私の全身を貫いて、両者の間を渡っている。その凄まじさに膝が震えた。
To be continued...
前のレスの青白い矢はピットさんの通常必殺技「パルテナアロー」。
ピットがまともに活躍しているのは第二章だとここだけです。ゴメンね小夜子さんの二番目の婿よ(´・ω・)
ついでに、クレイジーの技の比喩についてちょっと補足。
「チェレンコフ光」とは、荷電粒子が物質中を移動する際、荷電粒子の移動速度が光速を越えた時に発せられる光のことを指します。自分それほど物理学的な現象には詳しくないので、詳細はウィキ先生なりグーグルの旦那なりに聞いてみてください。
で、このチェレンコフ光なんですが。
この場合は色や雰囲気の比喩としてこの光を用いているだけであって、クレイジーの指先から実際にチェレンコフ光が出ているわけではないです。悪しからず(?)
色については画像検索でググってみると、いい夢見れると思います。