二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.109 )
- 日時: 2012/12/09 15:37
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: 4HUso7p7)
- 参照: 第三篇/Like Wolf or Like Me? (泣き虫の傲慢)
そうして——何時間泣き続けたのだろう。そもそも泣いていたのだろうか。
それすら分からないほどの時が経っていた。
泣き過ぎて涙は最早一滴も零れず、あまりにも大声を上げたせいで喉もガラガラだ。今、鉄パイプを持った男が「アンタの泣き顔笑えるぜ!」とでも言って小さな鏡を差し出してきたら、きっとその中には醜い顔が映っていることだろう。それこそ笑える顔が。
さすがにこんな顔見せられない、そんな気恥ずかしさから顔を両手で覆っていたら、今まで正面の屋敷を見ていたマリオがいきなりそっぽを向いた。正確に言えば、私に背を向けたのだ。
……何だ、分かってるじゃないかこのジェントルマンめ。ピーチ姫と末永く爆発してろよもう。
と、そんな心の声を聞いたのか、マリオは照れ隠しのように帽子の鍔を押し下げた。
「落ち着いたら教えておくれ」
言われて私は少し戸惑う。
後ろを向いた人に首肯をしても意味がないのだが、声を出そうと思ってもガマガエルの鳴き声みたいなモノしか出ない。少し迷った挙句、あまり醜いところを見せたくなかったから結局首肯に留めた。まあ、分かってくれると信じよう。
顔から手を離し、びちょびちょの袖口で涙の痕を拭う。見上げた空に浮かぶ陽は、南中の高度を十五度ほど通り過ぎていた。ならばと細めたままの目で森を見やると、マスターからのメールどおり、随分と暗い。私が立ち入ったときの明るさは、一体なんだったのだろう。
ぼうっとそんなことを思考しつつ、屋敷の屋根についた風見鶏を見上げてみる。
『風見鶏』と言われてまず皆がイメージするであろう、尾の長いニワトリが矢の上に立っているアレと形はほぼ一緒だ。が、ニワトリ本体と矢の下——屋根と風見鶏を繋げる棒の所に、こっそりスマブラのマークが入っていた。外観はただのでかい屋敷だけども、やっぱり自己主張はしたいらしい。
何となく微笑ましい気分になりながら、ふと視線を下ろす。思わず細めっぱなしの目を見開いた。
私の足元。短く刈り込まれ、よく管理されているのが一目で分かる芝生の間に、光るものが一つ。
光物を見るといてもたってもいられないなんて、まるでカラスのようだが、拾ってみたい衝動には勝てず拾い上げる。そして、また目を細めてしまった。
To be continued...
マリオさん久しぶりの登場なのに喋ってくんない。
ちなみに「あんたの泣き顔笑えるぜ!」の元ネタはBUMP OF CHICKENの「ラフメイカー」です。
それから、実はこの次に出てくるもの、後に小夜子さんの大事な装備品の一つになります。