二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.124 )
日時: 2012/12/29 16:40
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: 4HUso7p7)
参照: 第四篇/Dichroite Pendant (いつか役に立つ何か)

 「あの、大丈夫ですか?」
 横倒しになったダンボールを戻し、転がり出たじゃがいもをダンボールの中へ片っ端から投げ込んでゆくリンクへ、イモ拾いを手伝いながら声を掛ける。リンクはそれに顔を上げて、やや眉根を寄せて答えた。
 「嗚呼小夜子さん。私達は大丈夫ですが、先ほどの声は一体?」
 「マスターが地下二階でいきなりクレイジーに襲われて、大怪我したんです。幸いプログラムは無事らしいですけど、右腕がしばらく使い物になりそうにないって」
 簡潔に状況を告げる。一瞬動揺したような表情を浮かべたリンクは、しかしそれに何も言わず、大分遠くまで転がったイモ達を全部段ボール箱の中に入れた。そしてゆっくりと箱の蓋を閉め、溜息を一つ。
 「命に別状は、ありませんよね?」
 判らない、と首を横に振って返す。
 何処が急所かだなんて言うのは知らないが、マスターの傷は常人なら立てないし歩けないほどの大怪我だ。助かるかどうかなんて、蓋を開けてみないと分かりはしない。
 「ドクターに聞かないと。でも今はまだ多分——」
 言いながら振り返ると、名を出したばかりの男がガラスのテーブルに臆面もなく腰掛け、やれやれと言った風情で右肩を叩いている。その傍らでサムスはソニックとファルコンに事情を説明し、ソファではマスターが変わらずに寝ていた。そしてヨッシーはと言うと、真っ青な顔で直立不動。
 「まさか、もう?」
 「しかし小夜子さん、マスターさんは大怪我と」
 言いながら、思わずリンクと顔を見合わせた。二人揃ってドクターを見る。
 当の本人がひょいと振り返った。ぎょっとして肩を竦めた私達へ、彼はケラケラと楽しそうに笑う。
 「大丈夫大丈夫、全部繋いだよ。眼の方も何とかした。これでリュカのライフアップでもかけてやったら、まあ三日くらいで完治するんじゃないかな。人間腕の神経が十本や二十本切れたくらいじゃ死なないさ」
 桁がエグいぞおい。そんなに切れたらまず発狂するわ。
 「いやドクターさん、そう言うことではなく、早い……」
 「何を言う、当たり前じゃないか! これでも僕は元々、この近辺で一番でっかい病院の院長だったんだぞ。学会でも影虫の研究で賞状何枚か頂いたことだしね。結成の時にマスターが是非来てくれって言ってなきゃ、僕は今だって病院の院長席にふんぞり返ってるよ」
 リンクの反発は、バッサリ切り捨てられてしまった。
 しかし『あっち』ではあんな惨状を手術するのに最低でも五時間はかかるだろうし、細かい神経を繋ぐのなら、専用の超高性能顕微鏡だって必要になるだろう。それをドクターは十分にも満たない超短時間で、その上肉眼で全部やってのけたのだと言うのか。
 「化け物だ……」
 もう一度リンクを顔を見合わせて、私達は引きつった笑みを思わず、口の端に浮かべた。

To be continued...

変態と天才は紙一重。
短期的な集中力はメンバーの中でもダントツでトップです。