二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.87 )
- 日時: 2012/11/10 16:54
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: ptFz04.o)
- 参照: 第二篇/Silent Saneness (狂者は嗤い乍ら泣き喚く)
……なんて考えつつ、しばらく歩き続けると、不意に広い場所へ出た。
ちょうど『亜空の使者』でレックウザと戦う所のような、広い湖のほとりだ。対岸が霞むほどの広さに湛える水は綺麗に澄みわたり、深きを泳ぐ魚群の銀鱗が、よく太陽の光を跳ね返していた。『あっち』では、これほど綺麗な水を自然界に探すのも一苦労。この世界に来た甲斐が、少しだけあったような気がする。
ちょびっとだけ、やってみたいことが心の奥から湧いて出てきた。
「ちょっとくらいなら、いいよねぇ?」
——飛び込んでみたい。というか飛び込め。
今度ばかりは「あたし」も「私」も異口同音。
常人は心配に思うかもしれないが、私がある意味で最強のファイターであると言う証明のために、このコントローラーを渡されたとき、マスターから「防水加工済みだ」と言われた。そして言及しなかったドクターの話を信用するなら、この世界の防水は完全で、水をどんだけ掛けてもへっちゃららしい。心配は無いということだ。
落ちないよう、デクの実と受信機を入れたポケットのフラップを閉めて、構え。
息を吸い、吐き、吸って、止める。
足を曲げ、思いっきり、飛び込む!
残暑の蒸し暑さには相応しくない、晩夏の冷たさを含んだ湖水が、陽に焦がされて火照った全身を一気に冷やしていく。一旦は奥まで潜った私だったが、流石にこれだけ冷たいと、ある程度体を慣らしてからでなければちょっとマズい。水中で方向転換し、私は水面に浮き上がる。換気もついでにやっておいた。
深呼吸を数回。いきなりのことで跳ね上がった心臓が落ち着くのを待って、私は再び水中に潜る。水の中に入るのは随分久方ぶりだが、こんなものは造作もない。足で水を蹴れば身体は水の間を縫い、手で水を掻けばするすると抵抗なく奥まで潜っていく。着衣水泳万歳。
水はやはり何処までも澄み、視界一杯に魚群が光った。陽光に照らされて光る赤や黄色や青、はたまた銀に金の鱗。湖に住む奴らとは思えない、群れ泳ぐ魚の鮮やかさは、サンゴ礁に居るような錯覚さえ覚えてしまう。『あっち』の海でもこんな光景は中々見れないだろう。
眼福、眼福。
To be continued...
小夜子さんは文武両道のスーパーレディなのです。
それでもチートに見えないのは、きっと脇を固めるメンバーの能力が常人離れしているから。
ちなみに、第一章第六篇の「弓を投棄していた湖」は此処です。
イメージはまさに『亜空の使者』の湖。透明度は阿寒湖以上。
……段々このあとがきでも補填しきれない箇所が出てきたように思えてならない。