二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【スマブラX小説】The Promise ( No.95 )
- 日時: 2012/11/18 21:47
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: ptFz04.o)
- 参照: 第二篇/Silent Saneness (狂者は嗤い乍ら泣き喚く)
「なーに言ってんだドアホ。その割にゃ随分慣れてるじゃねェか。この世界に慣れてねェ奴はもっとリアクション激しいだろフツーはよ。況してや俺はお前らの敵だぜ? 身構えるとか何とかしねェってのか?」
「二重人格、って言っても良いんでしょうかね。あたしの頭の中、もう一人「私」がいるんです」
あまり気に入ってはいないですけど、と付け加える。するとクレイジーはバチンと音を立てて額に手を当て、心底面白そうに、人の背を冷たくする甲高い笑声をひねり出した。
「っはっはっはっはっはっはっはっはッ!! 頭ン中にもう一人自分がいるだってェ!? ンなことありえるかよ、上等だッ! やっぱ『あっち』の人間ってなァ奇想天外な奴ばっかだッ! 良いねェ、そーゆー奴俺ァ好きだぜ。気に入った、気に入ったぜシスタァ!」
指までさして笑うその姿に少しイラッと来たが、奥歯を噛んで堪える。頭の中にいる「私」の存在、自分としては本気の発言だったんだが、常人からするとやっぱり変な発言にしか聞こえないのだろう。『あっち』でもそうだった。今更キレたりするまい。
「っふふ、なーんもリアクションしやがらねェなお前。兄貴みてーな奴だ。ホント、面白ェ奴」
声の余韻に含まれた、ほんの微かな寂寥。聞き漏らすものか。
ずっと力を込めていた膝を折って、その場に腰を下ろす。お、とすっとんきょうな声を上げて片眉を跳ね上げたクレイジーへ、私は光に乏しい金色の瞳を真っ直ぐ睨んで、出来る限りの声を張り上げた。
「何で、こんな事に? 兄貴なんて呼ぶ以上、マスターは実の兄じゃないんですか?」
沈黙。
こんな質問、気に入らぬもの全てを無に帰す狂人を相手にして、愚かなことだとは分かっている。でも聞かずには居れない。マスターの意図とは手段を違えども、私はこのために呼ばれたのだから。
眉根を寄せ、頭を腕の支えから立ち上げて、クレイジーは不機嫌そうに目を細める。しかし、幾人ものメンバーを撲り飛ばしたであろうその左手が、私に向かって拳を握ることはなかった。
「お前さ、バカか? お前みたいな奴だったら、『そんな質問したら俺がキレて自分がどうにかされるんじゃねーか』とか、『個人の領域に立ち入るのはヤバいからやめておこうか』とか、そう言うコト考えるンじゃねェのか? それでお前、俺がキレて殺しにかかったらどうするつもりだったンだ? え?」
To be continued...
クレイジーは親しい人に対し、他と違う呼称を使っています。
お分かりですか?