二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

灰色 ( No.45 )
日時: 2012/09/23 22:49
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: http://nanos.jp/zotbox77/

29. 超えられない人




足元を濡らす雨


一人で歩く、出会いの街



すれ違う人はみんな笑顔なのに、俺だけは違うようだ。
今はこの街の思い出さえ、痛々しく瞼の裏側を過ぎる。

話を、しなくてはいけないと頭では分かっているのに




それを恐ろしく怖がっている俺って一体なんなんだ。



ふと視線を上げると、傘もささずに前を歩く見覚えのある後ろ姿






「なつ、」



パシャン、



膝から崩れ落ちるようにその後ろ姿が大きく揺れる

肩が小刻みに震えて、夏生の細い腕が自分を抱きしめた。






「う・・・ふ、っ」



嗚咽、


泣いて、る。



駆けつけたいのに、足が動かなくて

声をかけたいのに、声が出なくて





なんでこんな時に限って



緑間、






「なつき」


「しんた、ろ」
「何をしているのだよ」



だから俺は勝てないのか



越えられないのか






・・・何で、俺じゃダメなんだ