二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

灰色 ( No.46 )
日時: 2012/10/20 19:36
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: http://nanos.jp/zotbox77/

30. 残酷な武器




   時として、



   言葉とはとても無残に


   そして残酷な武器として







   存在してしまうのだ。———




* * *



「体を拭け、風邪をひく。」


ずっと探し続けていた、答えは何れにせよ自分で遠ざけていると気づいていた。
それをどう受け入れるか、悩んで迷って苦しんで。



結局、俺はまたここへとたどり着いてしまうのだ。




どうしたものか



彼女はあいつのモノなのに。

俺が手を伸ばしてはいけないと、知っているはずなのに。



突き放したのは自分



だけれど雨の中泣き崩れる彼女に手を伸ばした感情に、罪悪感があるかと問われれば




     『無い』、と答えるだろう。


「しんた、ろ」





俺を見たその瞳は、美しくも艶やかに、だがしかし曇を伴っていた。



「わかん、ないよ」



「・・・」

「どうしたらいいの、私」



そばにいて欲しいと、





会いたいのだと、


願ったのは、紛れもない自分




「わからないよ・・・!」



“会いたい”のその一言に彼女は






これ程に心をボロボロにして



あいつと俺で悩んだと言うのか。







・・・・・・馬鹿にしてくれるなよ。




俺はまた




    “言葉”という武器で







     彼女を傷つける———。