二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

灰色 ( No.47 )
日時: 2012/10/20 20:08
名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
参照: http://nanos.jp/zotbox77/

31. 突き放せない




   それは甘くて



   でも切なくて


   まるで






   初恋のような、味でした。




* * *



“会いたい”と表示されたディスプレイを見て、不覚にも涙が溢れてしまった。

それは今、私の隣に肩を並べてくれる人からではない。


過去に拭い去ったはずの、初恋の相手から




どうして今更そんな事をいうの?




私は、あなたに振られたのに。

あなたが私を振ったのに。



私ね気づいたの、やっと。





高尾くんを好きな気持ち


でもいつでも瞼の裏から消えない人は




慎太郎なんだよ。


高尾くんを好きな気持ちに気づけたのに、慎太郎を忘れられない自分に嫌気が差した。
私の“すき”が彼を不安にさせていると知っている。

紙に貼り付けたようなその言葉に彼がどれだけ顔を歪めたか。



心から伝えても伝えても





届かない

届いてくれない




すきよ、高尾くん。



でも








私には、慎太郎を突き放すことも







できないの。