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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 灰色 ( No.49 )
- 日時: 2012/10/21 13:26
- 名前: 兎欠 (ID: vj3b3W/M)
- 参照: http://nanos.jp/zotbox77/
32. すきをやめる
からっぽになった。
* * *
緑間に手を引かれて歩いていく華奢な背中を眺めた。
「はは・・・はっ・・・とーぜん、か」
前髪をかきあげようと手をかけた瞬間、
ポトリ、と手を濡らしたそれが涙だと気づいたらもう取止めもなく溢れ出た。
どうしてだ
心のどこかでこうなることを知っていたかのような空虚な心
虚しさをどこに追いやればいい?
やっぱり俺と夏生は付き合うべきじゃなかった。
だってそうだろ
満たされていく心は俺だけだった。
すきだったのは、俺だけだった。
忘れたいと言ったのは夏生だったのに
忘れさせたいと、思ったのは俺だった。
でも無理なんだそんな事
望めないものは、望めないし
手が届きそうなものは、必ず届かない
さようならは
正解だったのかもしれない。
返信を見るのが怖くて、布団の中で放置された携帯
もう、やめにしようこんな事
俺はもう、お前を好きになる事も、誰かをすきになることも
できない気がするから。
そうして俺の中の“すき”という感情は、
からっぽ、になった。
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