二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night ( No.1 )
- 日時: 2013/01/05 09:06
- 名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)
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「あー、もうびしょ濡れだわ・・・」
ザァザァと雨が降りつぐ。
村の娘、ミクは色褪せた手紙を持ち、雨の森の中を走っていた。
頼まれた手紙を森を抜けた先の館に届ける途中、道に迷ってしまっていたのだ。
そんな中、暗い木々に囲まれている中、少しの灯(あか)りが・・・
「この光は・・・?」
雨が降っているため、月は殆ど見えない。
ミクはとりあえず雨宿りさせてもらおうと灯りのほうへと向かった。
光の先には、黒い霧、暗い木々に囲まれた不気味な洋館。
何故こんなところに、と不審に思いつつ、ミクは扉のほうへ歩み寄った。
壊れかけた扉を叩き、光がついているので人が居ることを祈り、尋ねた。
「誰かいませんか」
返事がない。
ミクは扉を軽く叩きながらもう一度言った。
「誰かいませんか」
すると、キィィ・・・という音を立ててほんの数センチ、僅かに扉が開いた。
「おやおや、お困りですか?」
低いキー。男性の声だ。
「あの・・・私、道に迷ってしまって・・・」
するとまたキィキィと音をたて、扉が開かれた。
そこに現れたのは、紫の髪をポニーテールにした、燕尾服をまとった人物が現れる。
端整な顔立ちをしていて、一瞬女性だったかと思ったが、執事の服や手からして、女性じゃなかったと思い返す。
執事は、片手に持った蝋燭台を少し後ろに下げ、それからミクの顔を見て、静かに微笑んだ。
「おや・・・道に迷われたのですか。主人に尋ねてみますね。少々お待ちを」
くるっと踵を返し、カツカツと音をたて屋敷の中へ戻っていく。
ああ、ここはどこかの貴族のお屋敷だったのか、とミクは悟る。
それから服に吸った水を搾り出した。
少しすると、執事が戻っていた。
「宜しいということですので、お入りください。お客様」
***
「今宵の舞台は楽しそうな舞台ね・・・」
謎の影が、手紙を床に落し、静かに微笑した。