二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night ( No.20 )
日時: 2012/10/19 18:01
名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)

11頁

——村娘は血だまりの中に立っていた。
【鍵】という名の凶器を握って。

血だまりの前には、主人、奥方・・・・屋敷の人間が死んで倒れている。

「執事さん・・・、後は貴方だけ・・・
ここで、死んでもらうわ・・・・・私が生きて帰る為にっ」

村娘は執事に凶器を振り上げた。

「いえ。私を殺しても、貴女は生きては帰れませんよ」

執事がそう言った時には、村娘の凶器が胸に深く刺さっていた——。
口元を押さえ、白い手袋を紅に染めながら、膝を突き——倒れた。

村娘は自分の殺した屋敷の人間に目をやる。

「もう・・・誰も生きてない・・・!私は帰れるんだ!」
狂ったように叫んで、出口へ走る、走る。


「残念・・・・ダケド、時間切レェ☆」


扉に手をかけたとき——
ミクが殺した——、突き落とした少女の声が聞こえた。
いや、様な気がした。

「夢ではないよ」
「ひっ・・・!」
首を血で染めた主人が、ミクの前に立ちはだかった。

どうして?
殺したはずなのに。
コロシタハズナノニ——。

「宴の席はこれからは8席——。」
肩口から背中に大きな傷を作っているメイド。
彼女ももうこの世にはいない。

はずだった。

「永遠にね」
奥方。彼女ももうここにはいないはずだった。


「Happy Endなど存在しないのです」
振り返ると執事がいた。
紅に染まった手袋が差し出してくるのは——


『明け方
村娘「どうしたら家に帰れるの?」
だけども家に帰る方法は無い。
そのまま彼女はEndを迎え、棺行き——』


破られた頁(ページ)だった。


「さぁ、もうお分かりになったでしょう?
帰る場所など無いのです。ここに招かれた時点で貴女はここの住人。
私がこのストーリーを決めた脚本家なる人物となります。が、

その脚本。台本どおりに進めば台本どおりのEndを迎えます。
それでは面白味が無い——」

執事は、黄ばんだ紙を握り、言った。

「ま、待って、待って!やめないで!」
娘は叫ぶ。
主人、奥方、お嬢様、メイド、双子の人形。
全員が冷笑を浮かべていた。
だが、執事の顔は、見えない——。

そのとき、村娘の足元の床が外れた。