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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.36 )
- 日時: 2012/11/30 17:52
- 名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)
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「町はいいなぁ・・・」
一人王宮を抜け出した皇子は町をふらつきながら呟いた。
ガクルム——ガクは、同じ年辺りだと思われる男女に目をやる。
楽しそうに物を食べて、会話をして。
彼らは庶民だ。だが、ガクにはその様子がとても羨ましかった。
王宮での行動は、王子と言えど、全て制限されている。
客に会って、笑って、決められた仕種をして、
のちには決められた王室の女と結婚して、跡継ぎを残す。
行動を制限され、恋愛も出来ず——
自由を、奪われている生活だ。
庶民達は王族を羨ましがるが、
ガクにとって、食事も毎回あの作法にはうんざりだった。
はぁ、とガクがぼんやりと辺りを眺めていると、
「あ・・・」
向こうの街頭の近くで、
女性が頭につけていたヘッドドレスが風に吹かれ、飛んでしまった。
「っと」
こちらへ飛んできた髪飾りを止める。
女性がこちらへ向かって走ってきた。
「どうぞ」
ガクがそういって、女性に髪飾りを手渡すと
「すいません・・・ありがとうございます」
受け取りながら彼女はお礼を言った。
「いえ」
その日はそれで終わった。
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