二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.37 )
日時: 2012/12/01 19:45
名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)

第五夜

「私は・・・もう、御主らの傍に居られないのに」
二人に聞こえぬように、ガクがそうぼそりと呟いた。
カイトにはその言葉が心に強く刺さった。

それが何故なのかはわからなかったが。
どこかで、聞いたことのあるような・・・・・・
ふ、と眼を伏せた。

そして、気がつくと、ガクに声をかけられていた。

「・・・カイト、殿?」

『もう傍には居られない  君が見えない あぁ…
忘れて消えるから  消えそうな夜 』

自分が知らないメロディを、カイトは唄っていた。

「は、え?」
自分でもよくわからない。カイトは突如あたふたと慌てる。
何か、自分に別の人格が入ったような感じがしたから。

そして、あの騒いでいた二人も黙り込んでいた。

その様変わりした空気の中で、ガクが口を開く。

「『気持ちは残ったまま  記憶だけ残酷に』・・・・」
するとレンがガクのほうをチラリと見やり、
まだ高い少年声で後を継ぎ、後にガクが入りメロディが重なっていく。

「「『思いを消し去り  僕の前から居なくならないで壊れそう
幸せになって  僕の手の届く場所にいて居なくならないで
永遠が欲しかった  君を困らせてしまったね
どうかそこで待っていて  君を捕まえに行く』・・・・」」

二人が口を閉じるとグミがひゅー、と軽い口笛を吹いた。
「久々に聞いた、それ」

「オレだって久々だよー。まさか・・・あの、その」
カイトの方をちらちらと見ながらレンがしどろもどろに言う。

そこにグミが助け舟を出す。
「彼が知ってると思ってなかった?」
「そうそう」

再び和みだす二人の空気。
それと同時に、部屋のドアの取っ手に手をかけて、出て行こうとするガク。

「・・・・風に当たってくる」
「あ、待って、僕も付いて行っていいですか」
「好きにしろ」

いってらっしゃーい、と手を振るレンとグミにうん、と頷きながら、
外に出て行ったガクの後を追った。