二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.38 )
- 日時: 2012/12/04 17:15
- 名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)
第六夜
暗い階段を上り、着いた先は地だった。
あの部屋は地下室だったらしい。
辺りは夜で、厚い雲が星を包み込み、月がその中で唯一輝いていた。
出た先は路地らしきところで、
路地の壁にもたれかかり、ガクは煙管を吸っていた。
カイトがそちらのほうへ向かうと、少し伏せた眼でこちらを見やり、
ガクがカイトにむかって厚い黒のコートを投げる。
ガクやレンのコートと同じようだ。
ただ、ガクは紫で、レンが黄の色のチェーンが、青になっていた。
「・・・それは、我々が所謂『制服』としている物だ。
この前仕立てて置いた。夜は冷えるだろう、羽織っておけ」
「あ。はい」
カイトは渡されたコートを血のこびりついたシャツの上に羽織る。
そして肩を並べて路地にもたれかかる。
「ありがとうございます」
「・・・・・」
「何か、こんな素性の分からない僕なんか助けてもらって・・・・
僕が一番僕のことわかってないって、格好悪いですよね」
無言で煙管を加えたままのガクに向かってカイトは喋りかける。
返答は、別のもので帰ってきた。
煙草。カイトの前に、ガクがずいと突き出し、吸うか?と首をかしげた。
「あ、えっと」
煙草は吸ったことが無いと思う。
それでも一応頷くと、ガクが火をつけてカイトに煙草を寄こす。
カイトは軽く頭を下げると、煙草を口に咥える。
「ガクさん、ガクさんは煙草じゃなくて煙管なんですね」
ふと思いついたことを口に出す。
「・・・ああ」返答が、帰ってきた。
「・・・・・なんか、古風」
「わ、悪いかっ」
ガクの纏う、近寄りがたい空気が一気に溶ける。
まさかの性格。
カイトは部屋を出る前のグミたちとの会話も見ても思ったが、かなり意外である。
少し面食らっていたカイトだったが、どこか笑えて来て噴出した。
隣でなっ・・・!、っとガクが切れる。
その少し離れたところで、先ほどこちらへやってきた
グミとレンと二人が大人二人のやり取りを見て、
噴出しそうになるのを本気で我慢していた。
もし笑い出したらガクたちにばれて、ガクに拳骨をくらうまで、だ。
「いいじゃーん、仲良さそうにしてるー。レン君も入っていけばいいのにぃ」
「あーはいすみませんー、オレは過剰な人見知りですよー、はいはい」
気の抜けた返事を返すレン。
この二人、本当に仲が良いのだろう。
「にしてもお兄ちゃんも、あの弄りやすい性格ねぇ・・・・」
「確かに!風貌と違って以外だよね、あの人もきっと驚いてるはずだね」
二人が笑い出すと、突如にして背筋に寒気が走る。
恐る恐る振り向くと、
「御、主、ら?何をこそこそとしておるのだ?」
いつもより声のトーンが低く聞こえる。
『カタナ』にガクの手がいったのを見て、
「す、すみませんでしたぁぁっ!!」
二人で全力疾走をしだした。
後ろに居たカイトが少し笑うと、
数分後にはカイト、レン、グミの各頭に瘤ができていたと言う。