二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.56 )
- 日時: 2012/12/29 21:09
- 名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)
参
「樂羅さん、ですか・・・あ、もしかして女性の方でしたかっ?」
少し焦った様子で琉歌が言う。
もし青年が女性だったとしたら、男性相手に話すときのように話していた——そうだったら失礼だろう。
「いえ。私は男です。・・・けど、やはり女人に見えますでしょうか・・・」
やっと退かして貰い、解放された頭をさする漣を眺めながら神威が呟く。
よく見れば着物は着流し風だが、首の辺りで一つに結っている長い髪と
端整な顔立ちと来たら、旗から遠目で見れば一見女性のようだ。
琉歌はそんな彼を見やり、
「・・・気にしておられるのですか?」
と呟くと、はい、と照れ交じりの返答が帰ってきた。
「・・・おれ無視されてるよね?完全に二人の世界だよね・・・」
「おや、漣さん。心改まりましたか?」
「ばぁか。おれには分かるんだっ!このっ、素敵な女性と出会うとッ!」
目をきらきらさせて言う漣。
また始まった、とため息をつく神威と少し微笑む琉歌。
そんな神威の様子を見やり、漣が嫌味をこめて言う。
「ああ、そっかぁ、『女の樂羅』さんにはわかんないよねぇ!」
「・・・こんな自分より背の高い、胸もない女居ても貴方嬉しいですか?」
「・・・・・・悪うございました」
冷静に返答されて答えられない子供。
そんな彼を見ていると、神威も琉歌も思わず吹き出してしまう。
「な、何だよ!」と怒る漣をよそに、
「団子、2ついただけますか」
「わかりました」
やわらかく微笑んでいた。
*
「初詩将左」
苗字を呼ばれて、『彼女』は作業の手を止めて振り返る。
「・・・なんだい」
「始音殿がお呼びです。役所に来いと」
「・・・ん。わかった」
そういうと知らせに来た人物は扉を閉めそさくさといってしまう。
「・・・・・・海兄が役所呼び出しなんて珍しいなぁ」
彼女は資料を机の上に無造作に置くと、布団の上におきっぱなしだった服を手に取り、小袖の着物の上に着込む。
新調したばかりの服は着物と最近入ってきた西洋風のものが組み合わせになっており、将軍服のような感じだ。
彼女は軍帽子を被ると、部屋を後にした。